日本消化器内視鏡学会雑誌
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HBV陽性,HCV陽性患者による内視鏡の汚染状況と強酸性水による洗浄・消毒効果の検討
櫻井 幸弘中津 雅美佐藤 裕子佐藤 絹子
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2004 年 46 巻 10 号 p. 2312-2318

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抄録

目的と背景 強酸性水は強力な殺菌作用を有することが知られている.われわれはHBV陽性患者あるいはHCV陽性患者に使用された内視鏡の残存ウイルスを検討し,強酸性水による洗浄消毒の有効性を評価した。対象と方法 HBV陽性患者109例とHCV陽性患者107例について様々な理由で行った上部消化管内視鏡検査による内視鏡のウイルス汚染をprospectiveに検討した,10mlの生理食塩水を生検鉗子口より注入し,内視鏡先端から回収された液についてHBVとHCVをPCR法で測定した.内視鏡検査終了後空気を十分吸引した直後と,酵素洗浄液を加えた水道水200mlを吸引した後,ついで水道水の下にてブラッシングを行い,強酸性水に10秒浸漬し50mlを内視鏡先端より吸引した後の3段階で前述した方法で回収した液を用いて残存ウイルスの有無をPCRをもちいて検討した.結果:空気のみ吸引後の回収液からはHBV陽性患者109例では39例に,HCV陽性例では107例では20例にHBVあるいはHCVの残存を認めた.ついで酵素洗浄剤含有水道水200ml吸引後ではHBVは12例.HCVは6例に残存が認められた.ブラッシングに加えて強酸性水を使用した洗浄消毒後には,全例ウイルスの残存はなかった.結論:HBVとHCV汚染内視鏡の洗浄消毒には強酸性水は有効である.

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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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