1993 年 46 巻 4 号 p. 390-393
注腸X線検査によって大腸憩室と大腸癌の合併を確認した35例を対象として,加齢による影響を検討するため,65歳以上の高老年群21例と,65歳未満の若中年群14例に分け,癌を合併しない憩室のみが存在した憩室単独群394例(高老年群170例,若中年群224例)との間で,憩室の局在,憩室の数などを比較した.また憩室・癌合併例での両疾患の位置関係についても検討した.憩室に癌が合併しやすい傾向は認められず,また癌に憩室が合併しやすい傾向も認められなかった.癌が憩室の肛側に位置することが多かったが,大腸の隣.接した分節での両者の併存は少なかった.憩室と癌の同分節合併例では群発例が有意に多かった.今後,高老年者では左側あるいは両側大腸の憩室が増加することが予想され,これに併存する癌を見落さないためにも,ことに左側大腸憩室では注腸と内視鏡検査の併用が必要と考えられた.