日本救急医学会雑誌
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症例報告
術前に診断し得た神経因性膀胱に伴う膀胱自然破裂の1例
長門 優原山 信也岩田 輝男二瓶 俊一相原 啓二蒲地 正幸赤坂 聡一郎
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2008 年 19 巻 2 号 p. 99-105

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抄録
膀胱自然破裂はまれな疾患であり,なかでも神経因性膀胱に伴う膀胱破裂は極めてまれである。その多くは腹腔内に破裂するため腹膜刺激症状が強く出現し,また炎症の波及により腸管麻痺を呈することもあるため,消化管穿孔や絞扼性イレウスを疑われ,開腹されて初めて膀胱破裂と診断されることも多い。早期診断には血液検査や膀胱造影,膀胱鏡が有用とされているが,偽陰性となることも多く原疾患の同定は困難である。今回われわれは,腹膜刺激症状を伴う下腹部痛を主訴に当院へ搬送され,画像所見や腹水所見から膀胱破裂を疑い,膀胱造影後のCT検査にて術前に診断し得た神経因性膀胱に伴う膀胱自然破裂の1例を経験した。われわれが検索し得た本邦報告27例を集計し検討を加えた。原因不明の腹腔内液体貯留を有した急性腹症では,膀胱破裂も念頭に置き診断を進める必要があると思われた。
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© 2008 日本救急医学会
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