抄録
キボシカミキリの配偶行動を野外,室内で観察し,以下の結果を得た。
1) 雌雄の出会いにおいて,雄はクワ幹上を活発に俳徊し,また待ち伏せして雌との接触を行った。このなかで,とくに待ち伏せは俳徊しても雌との接触が得られない場合に観察された。
2) 雄は触角または小腮鬚と下唇鬚が直接雌に触れたときのみ雌を認知できた。
3) 配偶行動は終日観察されたが,午前,午後それぞれ1回ピークがあった。
4) 雄は羽化当日に交尾可能だが,多くは5日後に交尾した。雌は羽化後10日に50%が交尾したが,9日後までは雄との接触を避けた。
5) 1回の交尾様式は短時間の多回の結合と1回の長時間継続する結合からなっており,これらの交尾のなかで長時間継続する結合のみで射精が認められた。