日本消化器外科学会雑誌
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症例報告
全身炎症反応を伴い急速増大し悪性化が疑われた肝血管筋脂肪腫の1例
須納瀬 豊宮永 朋実吉成 大介戸塚 統戸谷 裕之小川 博臣平井 圭太郎高橋 憲史田中 和美竹吉 泉
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2011 年 44 巻 11 号 p. 1397-1403

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抄録
 症例は29歳の男性で,既往歴は結節性硬化症と腎血管筋脂肪腫であった.発熱があり近医を受診し,抗生剤と解熱剤を投与されるも改善せず当院を紹介された.全身検索で明らかな感染源を認めなかったが,38度以上の発熱が続いていた.血液検査は炎症反応以外に特異的所見がなかった.CTでは肝S8に7cm,S6に1cmの腫瘤を認め,半年前より増大していた.MRIではT1低信号T2高信号で,肝細胞相で欠損を認めた.生検で血管筋脂肪腫と診断された.PET-CTで高度集積を示し,大きさが増大しているため,悪性化が否定できず肝右葉切除を施行した.切除標本では被膜のない充実性腫瘍で,2つの腫瘍とも同様の性状であった.病理組織学的には紡錘形胞体を有する腫瘍細胞が線維束を形成し,リンパ球や形質細胞浸潤を伴っていた.免疫染色でhuman melanoma black-45,CD31,vimentin,α-smooth muscle actinが陽性で,炎症細胞浸潤を伴う血管筋脂肪腫と診断した.
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