抄録
症例は29歳の男性で,既往歴は結節性硬化症と腎血管筋脂肪腫であった.発熱があり近医を受診し,抗生剤と解熱剤を投与されるも改善せず当院を紹介された.全身検索で明らかな感染源を認めなかったが,38度以上の発熱が続いていた.血液検査は炎症反応以外に特異的所見がなかった.CTでは肝S8に7cm,S6に1cmの腫瘤を認め,半年前より増大していた.MRIではT1低信号T2高信号で,肝細胞相で欠損を認めた.生検で血管筋脂肪腫と診断された.PET-CTで高度集積を示し,大きさが増大しているため,悪性化が否定できず肝右葉切除を施行した.切除標本では被膜のない充実性腫瘍で,2つの腫瘍とも同様の性状であった.病理組織学的には紡錘形胞体を有する腫瘍細胞が線維束を形成し,リンパ球や形質細胞浸潤を伴っていた.免疫染色でhuman melanoma black-45,CD31,vimentin,α-smooth muscle actinが陽性で,炎症細胞浸潤を伴う血管筋脂肪腫と診断した.