日本臨床外科学会雑誌
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症例
腎細胞癌術後の多発膵転移に対し膵全摘術を行った1例
篠原 永光河崎 秀樹大谷 広美
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2009 年 70 巻 10 号 p. 3127-3130

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抄録
腎細胞癌術後14年目に発症した多発膵転移に対し膵全摘術を施行した1例を報告する.症例は59歳,女性.1994年腎細胞癌に対して右腎摘出術を施行した.以後無再発であったが,2008年2月の腹部CTで造影効果を伴う多発膵腫瘍を指摘された.精査の結果多発膵転移と診断され,手術加療目的で当科紹介となった.2008年4月膵全摘術,リンパ節郭清,脾合併切除を施行した.病理診断では腎細胞癌の多発膵転移と診断された.術後はインスリンによる血糖コントロールを要したが,合併症なく術後45日目に軽快退院した.当科では本症例を含み腎細胞癌膵転移症例を4例経験している.孤立性転移病変であれば積極的な外科切除により予後の改善が期待できると考えられた.
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© 2009 日本臨床外科学会
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