抄録
換気不十分な作業空間内での一酸化炭素中毒による労働災害は漸増傾向にあり,特に内燃機関の使用による中毒事故が目立つ.労働安全衛生規則では内燃機関の使用場所における換気の必要を明記しているが,現場では換気量と一酸化炭素濃度との定量的な関係が十分に理解されず,その結果,全体換気の効果が過信されるなど,依然として多くの現場で不適切な換気が行われていると懸念される.本報では換気による物質収支式に基づき,種々の気積を想定した作業空間内における一酸化炭素濃度の推移と換気量(換気回数)との関係を簡略化したモデル計算によって求め,作業空間内の濃度を天井値(200ppm)以下に保つために必要な換気量を試算した.