抄録
(目的)前立腺全摘術後にPSA再発を来した症例に対する外照射を用いた救済放射線治療の治療効果についてretrospectiveに検討した.
(対象・方法)前立腺全摘術後にPSA再発を来し救済放射線治療を行った28例を対象とした.28例中16例に内分泌療法を併用した.放射線は前立腺床に対して照射し, 線量の中央値は60Gyであった.放射線治療後のPSA2次再発をPSA 0.1ng/ml以上と定義し, その危険因子について検討を行った.
(結果)救済放射線治療後の観察期間の中央値は42カ月であった.PSA非再発生存率は, 救済放射線治療後 3 年で81%, 5年で74%であった.内分泌療法の併用はPSA2次再発には影響しなかった(P=0.56).単変量解析では, Gleason score 8以上(P=0.026), 救済治療前PSA 0.24ng/ml以上(P=0.0016)が再発の危険因子であった.多変量解析では, 救済治療前PSA 0.24ng/ml以上のみが有意な再発の危険因子であった(P=0.017).晩期有害事象として28例中 3 例(11%)にGrade 3の血尿を認めた.
(結論)前立腺全摘術後にPSA再発を来した症例に対して, 早期に救済放射線治療を行うことで良好な治療効果を得られる可能性が示唆された.