日本泌尿器科学会雑誌
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症例報告
精嚢原発平滑筋肉腫の1例
鈴木 龍弘原林 透安部 崇重佐澤 陽篠原 信雄野々村 克也
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キーワード: 精嚢, 平滑筋肉腫
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2009 年 100 巻 7 号 p. 703-706

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抄録
精嚢原発の悪性腫瘍はその大部分が癌腫であり, 肉腫は大変まれである.症例は72歳男性, 会陰部の疼痛と排尿痛を主訴とし当院を受診した.直腸診で前立腺頭側に弾性硬の腫瘤を触知した.CT, MRIで腫瘤は右精嚢の位置に存在していた.経直腸的針生検で平滑筋肉腫と診断された.北海道大学病院泌尿器科にて膀胱前立腺全摘, 骨盤リンパ節郭清と回腸導管による尿路変更が行われた.切除標本で膀胱, 前立腺は正常, 腫瘍は精嚢原発と診断された.術後3カ月で肺と骨盤内リンパ節に再発, 10カ月で腫瘍死した.病理解剖で多発転移巣を認めたが局所再発は認めなかった.精嚢原発平滑筋肉腫はこれまでに9例が文献的に報告されている.自験例を含め, 針生検による組織学的診断は5例に行われ, このうち平滑筋肉腫と診断されたものはわずか2例であった.自験例では免疫組織学的検討が有用であった.
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© 2009 一般社団法人 日本泌尿器科学会
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