2007 年 63 巻 4 号 p. 1091-1100
高レベル放射性廃棄物処分坑道近傍では,廃棄体からの発熱により化学作用が活発化し,岩盤の力学 · 水理学特性に大きな影響を及ぼすことが考えられる.本論文では,圧力溶解現象を考慮した概念モデルを用いて,熱 · 水 · 応力下における化学作用を定量化し,珪質岩石の透水性評価を行った.特に,珪質岩石の構成主鉱物である石英,クリストバライト,アモルファスシリカの溶解 · 沈殿特性に着目し,深地層下における圧力,廃棄体からの発熱作用を考慮し,透水特性の変化を定量的に評価した.その結果,90 °Cの温度条件下で時間と共に透水性が低下する傾向が得られた.また,クリストバライト,アモルファスシリカを多く有する珪質岩石は,石英系岩石よりも透水性の変化がより顕著となることが確認された.