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第1回公開シンポジウム予稿集「資源環境・エネルギーミニマム型システム技術」  3-7
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乾燥地植林による炭素固定システムの構築
山田 興一1)
1) 信州大学
大気中の二酸化炭素濃度の増加による地球温暖化は、人間活動による膨大なエネルギー消費に端を発しており、現代が抱える地球環境問題の中でも最も解決が困難な問題とされている。大気中の二酸化炭素濃度の増加を緩和するには大きく分けて二つの方法がある。一つはエネルギーの利用効率を上げる、あるいは代替エネルギーを開発するなどにより、二酸化炭素の大気中への放出量を削減する方法であり、もう一つは大気中或いは排出源から直接回収される二酸化炭素を海洋または陸上に回収·固定する方法である。本研究プロジェクトでは、その中でも、経済的かつ環境に与える負荷が低い方法として期待される「植林による陸上炭素固定」に着目している。
地球温暖化の対策となりうる規模で炭素を固定するためには大規模に植林できる土地が必要となる。しかしながら、樹木の生育環境が良い土地は食糧生産など他の目的との競合があり、大面積を確保することは望めない。一方乾燥地、半乾燥地は地球上に陸地の3∼4分の1の面積存在しながらも利用価値が低く、その大部分は未利用のまま放置されている。また、森林伐採、過放牧などによりこれらの土地はさらに拡大しつづけている。この(半)乾燥地を植林により大規模に緑化することが出来れば、例え単位面積あたりの炭素固定速度は小さくても、全体として大きな炭素シンクとなり、地球温暖化を緩和することが出来ると期待される。
これまでにも乾燥地の緑化に関しては多くの要素的、基礎的な研究がなされてきたが、それらはあくまでもその土地の環境改善が主目的であり、持続的な炭素固定を見据えたものではなかった。そこで本研究プロジェクトでは、従来の緑化技術に加え、乾燥地に適した新規な技術を提案、実証するとともに、乾燥地の気象、土壌、植生を調査し、それらを統合した持続的な炭素固定システムを構築することを目的とする。

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