一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
60回大会(2008年)
セッションID: 2C4
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2日目口頭発表
真空チルド法の食品に及ぼす効果および弊害について
*赤木 祐子
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キーワード: 冷蔵庫, 真空, 鮮度
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抄録

【目的】近年,健康志向が高まる中で,食品保存時における栄養成分の損失防止が求められている.食品中の脂肪酸,ビタミン類,アミノ酸は,常圧における冷蔵下よりも減圧下において損失を防止できることが判った.そこで,真空チルド法を家庭用冷蔵庫に活用した場合の食品に及ぼす効果および弊害について検討した.
【方法】冷蔵室下部に設置した密閉容器内に入れたのち,空気を真空ポンプで吸引後一定減圧下で保存した.その間の,酵素的褐変,メト化,K値および生きた食材の生死を品質の指標として,食品に対する減圧冷蔵の影響を検討した.酵素的褐変については,0.5,0.7,0.85気圧下で各24時間保存したときのりんごの切断面の色変化について,測色計(コニカミノルタ製CR-13)を用いてL*a*b*を測定し,減圧量と酵素的褐変の関係を調べた.メト化およびK値については,マグロの赤身を用いて,0.2~0.9気圧まで0.1刻みに各3日間保存し,色変化は酵素的褐変化と同様に,K値は魚介類の鮮度を測ることができる試験紙を用いて行った.生きた食材の生死については,あさり,活エビ,納豆菌およびヨーグルトの乳酸菌について0.3~大気圧下で1~3日間保存し,生死を測定した.
【結果】リンゴの酵素的褐変は減圧量に比例して褐色変化量が軽減した.マグロの赤身の色変化は,0.2気圧~0.4気圧で表面が褐色になり肉眼で識別できる感覚と一致し,0.8~1.0気圧で赤色が向上した.一方,マグロの赤身のK値は0.6気圧最大とした近似曲線となった.色変化およびK値の結果より,マグロの赤身は0.2気圧~0.4気圧では低酸素化によりメト化が進行し,0.8~1.0気圧では表面が酸化して赤色を呈したと考えられ,0.6気圧近傍がマグロの保存性には最も適している結果を得た.生きた食材の生死は,0.7気圧と大気圧とで差がなかった.

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© 2008 一般社団法人 日本家政学会
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