杏林医学会雑誌
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特集『災害医療』
看護の果たすべき役割
横田 由佳
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2015 年 46 巻 4 号 p. 295-299

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抄録

 災害看護は,災害の種類,被害状況,フェーズによって変化する医療ニーズに応じて,切れ目なく提供される。本稿では,災害拠点病院という組織の中で,看護が果たすべき役割について考えてみたい。阪神淡路大震災のデーターによると,発災から72時間を超えると救出者の生存率が激減する。そのため,72時間以内の救出と救急医療は,多くの命を救うために非常に重要である。しかし,この72時間は,病院は外部からの供給が途絶え,医療資源が圧倒的に不足する時期でもある。災害拠点病院は,危機的な状況の中,医療資源を上回る傷病者が訪れても,最善の災害医療を提供することが必要である。看護の果たすべき役割は,院内の日頃の備えに参画し,災害時に医療提供機能を維持し,多数の傷病者に対して適切な災害看護を,切れ目なく実践することである。これまので災害の教訓から,看護部門のあるべき姿を考え,適切な災害看護が実践できる看護組織を構築することが必要である。

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