杏林医学会雑誌
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総説
下垂体前葉におけるケモカインおよびケモカインレセプターの発現とその機能解析
堀口 幸太郎長谷川 瑠美瀧上 周大迫 俊二
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2018 年 49 巻 2 号 p. 117-125

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抄録

 ケモカインは,G蛋白質共役受容体を介して作用する分泌性の低分子量サイトカインスーパーファミリーの一つである。白血球の遊走因子として発見され,その後リンパ球や血管内皮細胞などの移動に関わる因子として注目されてきた。最近では造血系組織のみならず,神経組織や内分泌器官においても発現が報告され,機能解析が進んでいる。下垂体前葉は成長・生殖・代謝などを含めた生命の恒常性を維持する重要な内分泌器官の一つである。下垂体前葉からのホルモン産生は,視床下部からのホルモン制御を受けているだけではなく,前葉の細胞が分泌する成長因子やサイトカイン,ケモカインなどのパラクラインにより局所的にも制御されている。本総説では下垂体前葉におけるケモカインとその受容体の発現,そして我々の行ってきた機能解析についてこれまで明らかにした点を述べる。

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