杏林医学会雑誌
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症例報告
腐食性食道炎に対して食道バイパス術を施行した1例
蓮井 宣宏長尾 玄鶴見 賢直
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2020 年 51 巻 2 号 p. 113-119

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抄録

症例は80歳,女性。自殺企図のため強酸性洗剤を300 ml内服し,腐食性食道炎および化学性肺炎の診断で緊急入院した。急性期は集中治療を行い,全身状態は改善した。しかし高度の食道狭窄をきたし,内視鏡的バルーン拡張術を複数回試みたが改善を認めず,第129病日に外科治療を行った。術式は高齢,肺癌併存状態を考慮し,食道切除は行わず細径胃管,胸骨後経路,頚部吻合によるバイパス術に留めた。術後は縫合不全を認めたが保存的に改善し術後34日(受傷後163日)に独歩退院した。吻合部狭窄に対して複数回の内視鏡的バルーン拡張術を要したが食道癌の発生もなく,2年の経過を経た。今回我々は腐食性食道炎を経験し,良好な経過を得たので本邦の報告例とともに文献的考察を交えて報告する。

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