2021 年 52 巻 1 号 p. 13-17
2010年9月,米国Educational Commission for Foreign Medical Graduates(ECFMG)の宣言に端を発したいわゆる「2023年問題」は,日本のすべての医学部が国際的な基準に基づいて医学教育に特化した認証評価を受けるという動きをもたらした。本学は2018年にこの医学教育分野別評価を受審することとし,自己点検をもとに,評価基準に適合するための大規模なカリキュラム改革を含む様々な教育システムの改革を行った。2018年7月に自己点検評価報告書を完成させ,同年10月16日から19日に実地調査を受審した。評価報告書の内容に対して,日本医学教育評価機構(JACME)との間で2回にわたって意見交換を行った後,2020年3月26日付けで評価結果が確定した。
カリキュラム改革の中心は,従来の47週から66週に臨床実習の期間を延長したことであるが,低学年の授業科目の圧縮などの「副作用」ももたらしたことは否めない。新カリキュラムに則って教育を受けた最初の学年は2022年3月に卒業するが,彼らの卒業時アウトカムと臨床研修修了時アウトカムがどうなるかは注意して評価していきたい。JACMEは,受審済の医学部からの情報収集を十分行い,評価の手順や評価基準の妥当性について,継続的な検証・改善を進めていただきたい。