杏林医学会雑誌
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特集「杏林大学医学部の医学教育の変遷」
臨床実習
矢島 知治
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2021 年 52 巻 1 号 p. 35-38

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抄録

臨床実習を中心に,本学の臨床医学教育におけるこの数年の取り組みを概説した。
M4秋から1年間行われるBSL(Bed side learning)では評価項目を明示することで学習効率を高め,フィードバックを重んじることで学生の成長を促している。また,ローテーション順番に工夫を凝らし,ポートフォーリオを導入することにより学習効果の更なる向上をはかっている。M5秋からのクリニカルクラークシップでは質量ともに十分な診療参加型実習の実施を目指し,多くの学外施設の協力を得ながら実習環境の整備に努めている。
令和2年のコロナ禍においては平常時とは異なる教育が求められたため,M4からM6を対象としてオンラインでの双方向性症例検討を展開した。個別のフィードバックを繰り返すことで目的通り論理的思考を涵養できることが確認されたため,今後は平時の教育にもそうした要素を組み入れていく予定である。
臨床実習開始前の診断学実習はM4でのみ実施されてきたが,表面的な習得にとどまることが課題であった。学びを深めるため,事前学習を促すとともに,診断学実習の導入部分を低学年に移行し始めている。基礎医学や臨床の座学の学習補助にもなることに加えて,低学年での学習意欲が高まることも期待される効果である。
本学ではこうした取り組みを打ち出しながら,本学の使命である「良き医師の養成」を高いレベルで実現しようとしている。

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