日本臨床外科学会雑誌
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虫垂原発MALTリンパ腫の1例
山中 秀高岡島 明子杉浦 友則北川 喜己河野 弘松浦 豊
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2002 年 63 巻 5 号 p. 1249-1253

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抄録

症例は79歳,女性.下血で発症し入院した.入院時,表在リンパ節の腫大や腹部腫瘤は認めなかった.血液検査で貧血を認めたが,白血球数,分画,腫瘍マーカーは正常であった.腹部CT検査で回盲部に径3cm, ring enhancementを示すlow density tumorを認めた.大腸内視鏡検査で盲腸に表面凹凸不整,易出血性,弾性軟の隆起性腫瘍を認めた.虫垂開口部は不明であった.生検で悪性リンパ腫が疑われた.回盲部腫瘍と診断した.術中,盲腸へ粘膜下より進展する虫垂原発腫瘍で,右卵巣動静脈浸潤があり,右卵巣動静脈合併回盲部切除術, 2群リンパ節郭清術を施行した.病理組織でlymphepithelial lesionを,表面マーカーでCD3, CD5, CD10, CD23が陰性, CD20が陽性,異常蛋白発現でcyclin D1が陰性, BCL 2が陽性でdiffuse large B-cell lymphoma, extranodal marginal zone B-cell lymphoma of mucosa-associated lymphoid tissue typeと確診された.

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