失語症研究
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13 巻, 2 号
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会長講演
特別講演
  • 正高 信男
    1993 年 13 巻 2 号 p. 135-146
    発行日: 1993年
    公開日: 2006/06/14
    ジャーナル フリー
    ヒトの母親には新生児を授乳あるいは哺乳する際に,新生児が乳首を吸うことを休止すると乳児の体あるいは哺乳ビンを軽く揺する行動傾向が見られる。彼ら母子の自然な授乳行動を観察した結果,この揺するという働きかけが,乳児の吸う行動の再開に有意な効果を及ぼしていることが判明した。揺さぶられることは乳児に随伴性として作用する。その結果母親からの揺すぶりと乳児の乳首を吸う行動は,それぞれの側から他者に向けての働きかけとして相互に “ターン” の交換の形を形成していることがわかった。最初の6週のうちに母親も乳児もおのおの一度ごとの自らの働きかけを,短縮していく傾向がある。そしてこれらの行動パターンはヒトがヒト以外の霊長類から生物学的に受けついできたものであることが,ヒト以外の霊長類の音声コミュニケーションの研究から明らかにされた。
シンポジウム
カレントスピーチ
原著
  • 関 啓子, 杉下 守弘, 本村 暁
    1993 年 13 巻 2 号 p. 200-207
    発行日: 1993年
    公開日: 2006/06/14
    ジャーナル フリー
    呼称障害に対して触覚的手がかりおよび聴覚言語的手がかりのいずれが有効であるかを検討した。対象は WAB 失語症検査の物品の呼称課題において,触覚的手がかりおよび聴覚言語的手がかりの両方を提示した失語症患者 60例( Broca 失語 18例, Wernicke 失語 18例,健忘失語 12例,全失語 4例,その他 3例,分類不能 5例)である。結果は, 1) 触覚的手がかりが有効であった症例は3例で,うち2例は聴覚言語的手がかりも有効であり,触覚的手がかりだけが有効であったのは 1例であった。2) 聴覚言語的手がかりが有効であった症例は 41例で,うち前出の 2例は触覚的手がかりも有効であり,聴覚言語的手がかりだけが有効であったのは 39例であった。3) 聴覚言語的手がかりだけが有効であった例では聴覚呼称と聴覚言語呼称との成績の相関が高かった。4) 聴覚言語的手がかりが無効であった群には有効であった群より頭頂葉あるいは側頭—頭頂葉の損傷を含む例が有意に多かった。
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