本稿の目的は,戦争倫理学のあらましを提示した上で,電子情報通信技術の軍事応用の具体的事例としての戦闘ドローンを巡る倫理問題を検討することである.本稿の主要部分は2.から5.の4つの節に分かれている.2.では,戦争倫理学がどのようなものであるか,また戦争倫理学の営みとはどのようなものであるかを概観する.3.では,「(政治的)現実主義」,「平和主義」と並んで戦争倫理学の主要なアプローチである「正戦論(just war theory)」について検討する.4.では,戦争倫理学が扱うトピックを概観する.5.では,それらのトピックの一つとして,電子情報通信技術の軍事応用の具体的事例としての戦闘ドローンを巡る倫理問題を検討する.この倫理問題は,自動運転技術や人工知能をめぐる倫理問題と密接に関連している.