電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review
Online ISSN : 1882-0875
ISSN-L : 1882-0875
9 巻, 3 号
選択された号の論文の26件中1~26を表示しています
表紙
目次
ごあいさつ
特別寄稿
解説論文
幹事団提案
  • 水木 敬明
    2016 年 9 巻 3 号 p. 179-187
    発行日: 2016/01/01
    公開日: 2016/01/01
    ジャーナル フリー
    カードベース暗号とは,物理的なカード組を利用して,秘密計算等を実現するものである.1989年に5枚のカードで論理積を秘密計算できることが示されて以来,数多くのカードベースプロトコルが考案されている.カードベースプロトコルは,コンピュータやネットワークを必要とせず手軽に実行することができるとともに,その正当性や安全性は高校生でも容易に理解できる.本稿では,カードベース暗号の歴史を概観するとともに,最近の研究成果を紹介する.
VLD研究会提案
  • 石浦 菜岐佐
    2016 年 9 巻 3 号 p. 188-196
    発行日: 2016/01/01
    公開日: 2016/01/01
    ジャーナル フリー
    コンパイラはソフトウェア開発の基盤ツールであり,その信頼性確保は重要な課題である.コンパイラのテストは数千本から数十万本のテストプログラムから成るテストスイートを用いて行われるが,テストの数が有限である以上,どうしても不具合の見逃しは防げず,最新のGCC やLLVM/Clang などの比較的品質が高いとされるコンパイラにも多くの不具合が報告されている.近年,ランダムに生成したプログラムによりそのような不具合を検出するコンパイラ・ファジングのツールが幾つか開発され,成果を挙げている.本稿では,これまでに開発された手法やツールの狙いや課題について概観し,今後の方向性についての所感を述べる.
SITE研究会提案
  • 山根 信二
    2016 年 9 巻 3 号 p. 197-204
    発行日: 2016/01/01
    公開日: 2016/01/01
    ジャーナル フリー
    混乱するハッカー及びハッキングの理解を整理するために,本稿ではこれまでのハッカーのパブリックイメージがどのように形成されたのかをたどり,それらを史的展開の中に位置付ける.ハッカーの極端なパブリックイメージは時代ごとの不安が投影されていると考えることができる.これらはマスメディアによって作られただけでなく,計算機科学者や学会も役割を果たしてきた.更にハッカーに注目することで,これまでのコンピューティングの歴史を見直す新たな試みについて論じる.最後に今後の人材育成戦略についても取り上げる.
US研究会提案
  • 伊藤 洋一
    2016 年 9 巻 3 号 p. 205-213
    発行日: 2016/01/01
    公開日: 2016/01/01
    ジャーナル フリー
    空中超音波の基本的性質を通してその特徴(長所,短所)を示し,強力な空中超音波を発生させるため,まず大出力の超音波を効率良く空中に放出する音源(周波数20kHz)の構成について示した.次に,この音波を使って強力な音波を発生させるための方法と現在最も実用的と考える音源について,その基本特性を含めて紹介している.更に,強力空中超音波特有の効果について取り上げ,それを利用した各種応用技術について,既に実用化したものから,実用化間近なもの,研究開発中のものについて,その概要を分かりやすく解説している.
IMQ研究会提案
  • 橋本 典明
    2016 年 9 巻 3 号 p. 214-218
    発行日: 2016/01/01
    公開日: 2016/01/01
    ジャーナル フリー
    現代のイメージング技術の発展により,医療分野において様々なディジタル画像が利用されている.病理分野においてもガラス標本全体を撮影しディジタル画像として保存するバーチャルスライドスキャナの開発に伴い,ディジタル病理画像を用いた画像解析や臨床応用への期待が高まっている.しかしながらディジタル病理画像の普及は依然として不十分であり,使用用途が限られているのが現状である.原因の一つとして,得られる画像の色や画質に関する問題が挙げられるが,一方で画像処理によりこれらの問題を解決する動きも見られている.本稿では現在研究されているディジタル病理画像解析技術や,ディジタル病理画像の色や画質の改善に関する動向について解説する.
NLP研究会提案
  • 田中 久陽
    2016 年 9 巻 3 号 p. 219-228
    発行日: 2016/01/01
    公開日: 2016/01/01
    ジャーナル フリー
    ヘルダーの不等式は,1888年数学者のロジャーズと1889年ヘルダーにより独立にその基礎が見いだされ,以降,関数解析等の解析学の基本的不等式として日常的に多用されている.しかし,意外なことに,この不等式の物理的解釈の例は,2014 年にようやく知られるようになった.本稿は,この不等式が最近の非線形問題の未解決な問題のエレガントな解答を与え,更に情報通信分野にも浸透しつつあるTsallis(ツァリス)統計の一つの基礎にもなり,更に現代制御理論を補強する可能性について解説する.
RCC研究会提案
  • -光グリッドとコグニティブ無線-
    橘 拓至, 小木曽 公尚, 中村 幸紀
    2016 年 9 巻 3 号 p. 229-237
    発行日: 2016/01/01
    公開日: 2016/01/01
    ジャーナル フリー
    近年,高信頼な遠隔制御をターゲットとした通信技術の確立が重要となっており,制御理論を利用した通信ネットワークの研究が注目されている.特に,パケット損や遅延を考慮したネットワーク化制御の研究や通信品質を考慮したデータ伝送方式に制御理論を活用した研究が行われている.本稿では,光グリッドとコグニティブ無線を対象に,制御理論を利用した資源管理技術を紹介する.光グリッドに対する資源管理技術では,計算機資源と波長資源の有効利用を目標として,PID制御とモデル予測制御をそれぞれ使用する.一方,コグニティブ無線に対しては,送信電力を調整して無線資源を有効利用できるように,PID制御とモデル予測制御をそれぞれ使用する.これらの資源管理技術に関して,どのようなモデル化が行われているか,PID 制御とモデル予測制御がどのように利用されているかなどについて説明する.
NLP/CCS研究会提案
  • -ダイナミカルシステムデザインとその応用-
    中田 一紀
    2016 年 9 巻 3 号 p. 238-247
    発行日: 2016/01/01
    公開日: 2016/01/01
    ジャーナル フリー
    電子の「電荷」と「スピン」の自由度を利用した集積電子デバイス,スピンデバイスの研究が進展している.これまでにスピンデバイスとして様々なものが提案されており,特にスピン流によって誘起される磁化ダイナミクスを動作原理とする磁気抵抗メモリや磁性体発振素子,強磁性細線素子は省電力・高機能を実現するBeyond CMOS デバイスとして群雄割拠の様相を呈している.本稿では,物質や材料によらない普遍的な設計論/制御論の確立に向けて,数理的な視点からデバイスダイナミクスを捉えることによってスピンデバイスを最適設計する手法:ダイナミカルシステムデザインを提案する.はじめに,提案手法の基礎となる,非線形分野で発展したダイナミクスベースの設計手法について概観する.次に,代表的なスピンデバイスのダイナミカルシステムとしての動作特性について示す.更に,磁性体発振素子アレーの様々な同期機構の設計に提案手法を適用した取組みについて紹介するとともに,提案手法の枠組みを最適制御に拡張する試みについて展望したい.
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