地質学雑誌
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112 巻, Supplement 号
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日本地質学会第113年学術大会 2006年 高知 見学旅行案内書
  • 前杢 英明
    2006 年 112 巻 Supplement 号 p. S17-S26
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/06/06
    ジャーナル フリー
    高知から室戸岬にかけての土佐湾北東部の海岸に沿って,標高数百m以下に海成段丘がよく発達している.特に室戸岬に近い半島南部では,段丘面の幅が広くなり,発達高度がより高いことから,切り立った海食崖と平坦な段丘面のコントラストが印象的であり,海成段丘地形の模式地として地理や地学の教科書等に頻繁に取り上げられてきた.本コースの見どころは,室戸沖で発生する地震性地殻変動と海成段丘形成史とのかかわりについて,これまでの研究成果をふまえて,傾動隆起などを実際に観察できることにある.さらに,ここ数千年間の地震隆起様式について,地形・地質学的証拠と測地・地球物理学的な見解に相違点があることを,現地を見ながら確認できる.
  • 岩井 雅夫, 近藤 康生, 菊池 直樹, 尾田 太良
    2006 年 112 巻 Supplement 号 p. S27-S40
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/06/06
    ジャーナル フリー
    唐の浜層群は数少ない西南日本に点在する鮮新統のひとつで,当時の黒潮やテクトニクスを探る上で貴重な浅海域の情報をもたらす.甲藤ほか(1953)は泥岩主体の登層,礫岩主体の奈半利層(=六本松層),含貝化石砂岩層主体の穴内層を総称し唐の浜層群を定義した.しかし分布域が広範で露頭が点在することからその層序関係や年代論に関しては種々見解が飛び交い混沌としてきた.1990年前後になり登層と穴内層は一部同時異相の関係にあり,それらを不整合に覆う海成段丘堆積物が六本松層であると理解されるようになったが,公表されたデータが断片的で年代論に関してはなお見解に相違がみられた.2005年末~2006年初頭に相次いで陸上掘削がなされ,年代論に決着をつけ黒潮の様相を高時間精度で明らかにしようという取り組みが始まった.本見学コースでは登層模式地,六本松層模式地,穴内層の堆積シーケンスと岩段丘堆積物・海食地形を案内,論争にいざなう.
  • 遅沢 壮一
    2006 年 112 巻 Supplement 号 p. S41-S53
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/06/06
    ジャーナル フリー
    菜生コンプレックスのメランジェと斑糲岩岩脈,四十寺山層の火山岩礫岩.D1劈開に切られる玄武岩岩脈.シース褶曲と斑糲岩シル.D0正断層とD1境界スラスト.D-(マイナス)1とD1劈開をもつチャート岩塊.時間次第で,手結メランジェなどのオプションあり.
  • 星出 隆志, 小畑 正明, 吉村 康隆
    2006 年 112 巻 Supplement 号 p. S55-S69
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/06/06
    ジャーナル フリー
    室戸岬ハンレイ岩体の岩相変化と層状構造.及び壁岩の接触変成部の溶融構造の観察.特に,岩石の産状,鉱物モード組成,全岩化学組成,結晶サイズ,結晶数密度の観点に基づき,急冷周縁相,結晶集積部,結晶成長部,粗粒ハンレイ岩,斜長岩質岩脈といった本岩体の各岩相相互を関連付け,層状構造の発達とマグマの分化プロセスを検証する.
  • 坂口 有人, 橋本 善孝, 向吉 秀樹, 横田 崇輔, 高木 美恵, 菊池 岳人
    2006 年 112 巻 Supplement 号 p. S71-S88
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/06/06
    ジャーナル フリー
    四万十帯における構造地質学的調査,温度圧力条件分析等の進展は,四万十帯が沈み込み帯の震源領域で形成されたことを明らかにした.そして四万十帯において典型的な地震性断層岩であるシュードタキライトが次々に発見され,海溝型巨大地震発生メカニズム解明の地質学的アプローチが可能となった.本巡検では,四万十帯に発達する変形構造(沈み込みから底付け作用,アウトオブシークエンススラストおよび地震に関わる変形岩),流体移動の痕跡である鉱物脈の産状等を観察し,室内分析による基礎データ(マップスケール分布,温度・圧力,差応力など)をもとに議論を行う.
  • 香西 武, 石田 啓祐, 近藤 康生
    2006 年 112 巻 Supplement 号 p. S89-S99
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/06/06
    ジャーナル フリー
    見学コースは,香美市土佐山田町から香美市香北町にかけて分布する黒瀬川帯南帯の地層見学で,田代(1985)による南海層群の模式地とされている地域である.南海層群の地帯帰属を考察するために,南海層群の南側に分布するペルム紀付加体,南海層群基底部礫岩,テチス型二枚貝フォーナとされている二枚貝類の産出地点を観察する.その後,南海層群と断層で接し,ジュラ紀後期から白亜紀最前期の地質年代を持つ美良布層模式地に移動し,Kilinora spiralis群集,Loopus primitivus群集,Pseudodictyomitra carpatica群集の放散虫と海生・汽水生の二枚貝類の産出層準を見学するとともに砕屑岩・石灰岩からなる堆積相を観察する.また,美良布層のジュラ系白亜系境界についても検討する.
  • 遅沢 壮一, 竹下 徹, 八木 公史, 石井 和彦
    2006 年 112 巻 Supplement 号 p. S101-S116
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/06/06
    ジャーナル フリー
    本見学コースでは,三波川変成岩が後退変成作用を受けつつ上昇して来た時に形成された変形構造(D1,D2およびD3時相に形成された構造)を観察する.このうち,著しい東西塑性流動で形成されたD1変形構造と,鉛直の開いた東西方向の褶曲群で特徴付けられるD3変形構造は識別が比較的容易であり,本見学コースで数地点において観察する.一方D2変形構造はこれまで必ずしも明確でなかったが,最近著者らは,その実体や上昇テクトニクスにおける意味を明らかにしつつあり,本見学コースの重要な観察・議論の対象として取り上げる.第1日目では汗見川流域の高度変成岩中に発達する,D2褶曲やスラストおよびデタッチメント正断層が観察の見所となる.第2日目には,中央構造線近傍国領川流域の変形帯で,D2正断層およびそれを転位させるD3褶曲を観察する.ここでは,D2の北北西方向への運動方向を示す石英スリッケンファイバーも観察する.
  • 岡田 篤正, 杉戸 信彦
    2006 年 112 巻 Supplement 号 p. S117-S136
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/06/06
    ジャーナル フリー
    中央構造線活断層帯は日本列島で最長の活断層であり,変位地形の規模も大きく明瞭である.断層露頭も見事である.1995年兵庫県南部地震(M7.3)の発生以降も,多くの調査機関や大学(研究者)が各種の活断層調査を実施してきた.とくに,ボーリング・反射法地震探査・トレンチ掘削調査などが各所で行われ,中央構造線活断層帯の性質・活動履歴・地下構造などもかなり詳しく判明してきた.こうした成果に基づいて,地震調査委員会(2003)から長期評価も公表された.四国中央部における中央構造線活断層帯の代表的な活断層地形や断層露頭などを見学するとともに,地下構造調査の成果も紹介し,活断層に関する総合的な考察を行い,残された課題や問題点などについて検討する.
  • 横山 俊治, 村井 政徳, 中屋 志郎, 西山 賢一, 大岡 和俊, 中野 浩
    2006 年 112 巻 Supplement 号 p. S137-S151
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/06/06
    ジャーナル フリー
    小出(1955)の定義による破砕帯地すべりは今日の知識からすれば付加体分布地域で多発している.破砕帯地すべりは地すべり性崩壊であると小出(1955)が記述しているように,崩壊時に破壊された地すべり移動体は山津波となって谷を流下し,しばしば末端では河川を堰き止める.見学地である阿津江の事例には,このような破砕帯地すべりの特徴がくまなく現れている.
    見学は末端部から発生域へと進めていこう.末端部では,坂州木頭川渡った山津波が対岸の斜面を50 mほどの高さまで乗り上げている.ここでは,山津波の流れを記録する樹木に刻まれた流下痕跡を観察し,一旦は斜面に乗り上げた土砂や構造物の大部分を洗い流した強い引きの流れの存在,山津波の一部が坂州木頭川を跳び越えている状況を確認する.発生域では,崩壊頭部のクラック群・緊張した樹根,崩壊壁の地質を,発生源の谷底では新旧の土石流堆積物,破砕帯,断層を観察する.
  • 山田 泰広
    2006 年 112 巻 Supplement 号 p. S153-S159
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/06/06
    ジャーナル フリー
    スケールアナログモデル実験(以下モデル実験と略)は,地質構造の形態やその形成過程を検討するための優れた手法である.自然現象である地質構造形成過程を縮小して,それと物理学的に等価な現象を実験室で再現するためには,相似律と呼ばれる理論に基づいてサイズや物性を変更する必要がある.上部地殻の岩石変形挙動を脆性破壊で近似した場合,相似律によると実験材料を乾燥粒状体(砂やガラスビーズなど)にする必要がある.今回のミニスクールでは,実験理論である相似律と実験材料の物性に関して概略を説明した後,実際に乾燥砂を使ったモデル実験を行って,モデル化した付加体形成過程を観察する.
  • 藤川 和美
    2006 年 112 巻 Supplement 号 p. S161-S168
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/06/06
    ジャーナル フリー
    植物の分布や植生には,気候以外にも生育地の土壌が大きな影響を与えている.高知県には高知市郊外をはじめ蛇紋岩地が多い.蛇紋岩地では土壌の貧栄養や乾燥によって形態が特殊化した植物が認められること,また,固有種や分布上興味深い種が多いことなどが報告されている(北村, 1993;堀江, 2002).日本の蛇紋岩地の植物に関する研究は高知県を舞台とした吉永(1914)の研究を端緒としており,県内ではその後,山中(1959)ほかがその植生を中心に精力的に研究を進めた.そこで,高知県におけるこれまでの研究成果をまとめ,蛇紋岩地に生育する植物について報告する.
    次に,植物について知り得る身近な見学コースとして高知県立牧野植物園を紹介する.園内には,高知県の変化に富んだ植生を再現する土佐の植物生態園があり,また,平成18年8月15日から11月30日までは「植物化石展 ―化石でたどる植物の進化」と題した展示が開催されている.
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