一般的に電子写真では, 光沢の低い普通紙を使って, その上にトナーを嵩高く現像するために, 印刷と異なる固有の画像表面構造をもつ. 色再現の観点から高光沢像を与えるカラートナーを用いた場合, 背景部とトナー像部の光沢に大きな差を生ずる. さらに, トナーの分布には同様の光沢の分布を伴うため, トナー像が乱れると濃度ゆらぎに加えて光沢の変動をも引き起こして, 粒状を大きく悪化させる. そこで, 画像上に均一な透明トナー層を現像することで, 電子写真画像の表面構造を改質して高画質化することを試みた. この結果, 印刷と同様に, 低ノイズで, 画像濃度に依存しない均一光沢をもつ高画質な画像が得られた. SEMなどによる画像構造の観察, 測色的ドットゲイン解析および偏光を使った光沢変動の解析によってノイズ低減のメカニズムを調べた. 予想していた表面平滑化による光沢変動の抑制効果に, 定着過程でのトナー像乱れの軽減という予想外の効果も加わり, 大幅にノイズを減らすことができた.
抄録全体を表示