日本画像学会誌
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39 巻, 3 号
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特集論文
  • 斎藤 了一, 小寺 宏曄
    2000 年 39 巻 3 号 p. 173-183
    発行日: 2000年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    個々の画像が形成する色立体の外郭表面及びその体積を知ることは色再現問題を論じる上で重要である.色立体のCIELAB空間上での3次元形状を記述できれば,色域マッピングや色材の評価に有効である.本論文では,体積計算において外郭をなす四面体群の色度点配列の抽出法と計算精度について考察する.自然画像では画素の色空間上での色度点はわかっても,その配列順を知ることは難しい.配列順決定の方法として,前報では,画素の色度を色相角と明度により2次元の扇形部分空間に分割し,各部分空間毎に中心から最外郭の点を抽出した.最外郭3点と中心点による四面体計算で体積値を示したが,凹包形状の誤差により理論値よりも過剰に算出された.本報では,分割時における明度の使用に変えて明度角を用いて抽出の精度を高め,最外郭の3点で構成される三角面が中心に対して外向きか内向きかを判定し,正負を割り当てた四面体体積計算をすることで,凹包形状での四面体重複誤差を解消した正確な体積算出手法を考案した.画素の特徴に応じた最外郭点を自動的に求めることができ,正確な体積も算出できるので,対象とする画像の色空間上での色域を把握する上で有用な方法である.
  • 小堀 康功, 小俣 隆, 中野 哲夫, 高野 裕一
    2000 年 39 巻 3 号 p. 184-194
    発行日: 2000年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    テレビ画像等をハードコピーするビデオプリンタにおいては,データ演算による高画質化が進められている.ここでは高画質化の一手法として,縮小画像プリント時の高域成分折返しノイズの除去方法と,色補正に関して検討したので報告する.
    縮小プリント時では,フレームメモリに記憶した後にLPFが必要なことはよく知られている.通常,LPFはディジタル構成の高次フィルタであり,演算処理時間が長いかあるいは多くの演算回路を必要とする.今回,平均化による高速で簡単なフィルタでも,実用可能な縮小画像を得られることを確認した.
     またテレビ画像のプリントにおいては,テレビとプリントの色再現範囲の相違より,色域圧縮などの色補正が必要である.ここではプリンタの使用用途に応じた色補正方式,プリント色域への非線形圧縮方式およびテレビ信号処理に準じた色補正方式を検討したので報告する.
  • 渡辺 崇, 星野 坦之
    2000 年 39 巻 3 号 p. 195-202
    発行日: 2000年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    近年,デジタル画像技術の急速な発展により,デジタル画像の画質の大幅な改善がなされた.その一方では,従来から画像の記録技術として用いられている銀塩写真技術は,画像記録システムとして一つの重要な文化として認識されている.そこで,我々は,銀塩写真の特徴を抽出し,デジタル画像システムにその特徴を取り込むことにより,デジタル画像を銀塩写真調に変換する処理法について提案する.本報告では,写真調変換処理の一般式を求め,その式を2次のフィッティングで計算して写真調変換を行った.その結果,トーンおよび色調が写真調になっていることがオピニオンテストにより確認された.
  • 能勢 将樹, 師尾 潤
    2000 年 39 巻 3 号 p. 203-209
    発行日: 2000年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    誤差拡散法は現在,デジタルハーフトーニングの主流となる技法であるが,その出力画像に見られる“worms”と“fingerprints”と呼ばれる視覚的に不快なテクスチャが,より高度なハーフトーニングの開発の妨げとなっている.特にハイライト領域に顕著に見られるwormsは出力画像の粒状感の大きな要因となる.そこで本稿では,以上のテクスチャを除去し,網点法の長所と融合することを目的とした容易な方法を提供する.その改良技法の主なポイントは,入力値に応じて振幅と周波数が変化する正弦波を用いることである.その正弦波を入力画像に重畳することで,wormsは均一に矯正配置される.この論文では,その実験結果を報告し,これまでの誤差拡散法による出力画像と画質の比較を行う.
  • 笹原 慎司, 稲垣 敏彦
    2000 年 39 巻 3 号 p. 210-216
    発行日: 2000年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    1次元方向に階調がランダムに変化するランダムパターンを用いてプリンタシステムの空間周波数応答から画素サイズを推定することにより,プリンタ解像性指標を算出する新規解像性評価方法を開発した.本方法では,画素が表現できる階調数を考慮してその大きさを比較することにより,記録方式非依存に解像性比較を行うことが可能になる.また,印刷シミュレーション画像および各種プリンタ出力画像の鮮鋭さは,本方法により求めた画素サイズとハイライトおよび中間調部のコントラストの3変数により表わすことができることを示した.
  • 篠崎 真, 田島 洋, 前田 秀一
    2000 年 39 巻 3 号 p. 217-228
    発行日: 2000年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    溶融型熱転写方式カラープリンターにて三種の用紙に同一条件で印刷しその画質を評価した.
     画像境界部の評価ではTEPおよびNEPを評価し,合成紙,多孔性塗膜塗工紙,上質紙の順に画質が優れているという結果が得られた.多孔性塗膜塗工紙はTEPでは合成紙に近い値を,NEPでは上質紙に近い値を示した.
     階調再現性においては,合成紙は階調再現性が忠実であり,上質紙はややアンダー気味,多孔性塗膜塗工紙はややオーバー気味,という傾向が見られた.多孔性塗膜塗工紙は30%程度以下の網点面積率においては合成紙とほぼ同等の性能を示し,また網点面積率の高い領域では本実験の印字モードでは過剰に転移するという結果が得られた.
     モトル評価および粒状性評価では,上質紙に比べて合成紙と多孔性塗膜塗工紙は優れているという結果を得た.
     上述の印刷品位は表面粗さでほとんど説明できると思われるものの,なかで多孔性塗膜塗工紙は特異な傾向を示している.多孔性塗膜塗工紙は表面の多孔性塗膜によって吸液性,断熱性,クッション性が付与され,それらが上記の特徴を与えたものと考えられる.
一般論文
  • 平林 純, 高橋 通
    2000 年 39 巻 3 号 p. 229-240
    発行日: 2000年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    電子写真の現像プロセスにおけるトナー挙動計測システムを開発した.本システムはレーザー・シート可視化法を用いることにより,一成分非接触現像プロセスにおけるトナー現像挙動を可視化計測することができ,潜像に対するトナー現像挙動観測や基礎的な現像挙動観測などが可能である.本報告では,ベタ画像印字時の基礎的なトナー現像挙動観測,および,潜像の境界部で発生する二種類の画像欠陥「掃き寄せ」・「白抜け」の発生時のトナー現像挙動を観測した.その結果,いずれの画像欠陥も現像プロセス後端において発生していることがわかった.また,現像プロセス周りの空気流の速度計測も行い,現像ニップ中における空気流の速度はプロセス・スピードとほぼ等しいことを確認した.
Imaging Today
『トナー・現像剤の帯電特性に関する特集』
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