日本画像学会誌
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41 巻, 3 号
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論文
  • 水野 恒雄, 半那 純一
    2002 年 41 巻 3 号 p. 214-220
    発行日: 2002年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    カラープリンタに使用され転写ベルトの電気伝導特性に関して評価を行った.なるべく実際の現象に近い状態でのパラメータを定量化するため,電荷輸送方程式を基に過渡状態からの評価を行った.
     まず,転写ベルトのJ-V特性から,電荷輸送状態はオーミックな伝導領域と,空間電荷が形成されキャリアが輸送律速となる空間電荷制限電流領域があることを示した.
     次に,電荷を与えた後の自己放電による電荷減衰特性を測定して,緩和時間とキャリア移動度を定量的に求めた.緩和時間,キャリア移動度とも電圧に大きく依存していることが明らかとなった.特に,キャリア移動度は,空間電荷制限電流領域になる電圧より数十V高い電圧から急激に依存性が大きくなり,この領域ではPool-Frenkel Typeの近似式で表すことができた.
     誘電率は,抵抗を介して転写ベルトに電圧を印加して,転写ベルトにかかる電圧を測定するステップ応答特性より求めた.
     本測定法は,転写ベルトを解析するために有効であるばかりでなり,幅広く適用が可能である.
  • 水野 恒雄, 半那 純一
    2002 年 41 巻 3 号 p. 221-227
    発行日: 2002年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    電子写真方式で使用される転写媒体は,電気的には抵抗成分と容量成分の並列回路で表現される.これらパラメータは,汎用測定器で測定されている.しかし,ローラ転写の場合は,接触部で高圧の転写電圧がステップ状に印加されるため,汎用測定器で得られたパラメータが,その電気的挙動を反映するか確認されていない.
     そこで,電荷輸送方程式を基に,転写媒体をより実際に近い過渡状態で測定する方法を考案して評価し,従来の方法と比較した.
     まず転写媒体に電荷を注入し,自己放電による減衰特性から緩和時間を求めた.次に,抵抗を介して転写媒体に電圧を印加して,その立ち上がり波形を測定することにより,誘電率を求めた.さらに,導電率は緩和時間と誘電率より算出した.
     この結果,誘電率は,電場依存性は見られなかったが,従来の測定方法に比べて約2~3倍の値となり,過渡状態での振る舞いを反映しているものと考えられる.一方,導電率に関しては,従来の静的な測定方法での結果と今回の過渡状態での測定結果とが略一致し,共に同じ電場依存性を示すことが明らかとなった.
  • 水野 恒雄, 半那 純一
    2002 年 41 巻 3 号 p. 228-235
    発行日: 2002年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    中間転写方式は,半絶縁性の転写ベルトを用いた転写方式であり.各色トナー毎に転写ベルトへ重ねあわせ転写する一次転写プロセスと,転写ベルト上のトナーを一括して媒体に転写する二次転写プロセスがある.本論文では,この二次転写プロセスに関し,電荷輸送方程式を基に転写ベルト・転写媒体の電気伝導特性を調査すると共に,二次転写プロセスに適用し,転写現象のシミュレーションを行った.
     転写ベルトの電気伝導特性は,オーミック領域と空間電荷制限電流領域があり,キャリア移動度は,空間電荷制限電流領域で,電場依存性のない領域と電場依存性を示す領域が存在した.空間電荷制限電流領域では電圧と電流密度の関係から等価的な導電率を定義し,電圧の関数としての近似式を求めた.また,転写ローラ,転写媒体も導電率の電場依存性を示し,同様に近似式を求めた.
     以上のパラメータと,測定により求めた一次転写後のトナー層電荷を,電気的等価回路で表わした二次転写部モデルに適用して挙動を解析した.転写ベルト,トナー層,用紙,転写ローラ各部のニップ部における時間的な電位変化,電位分布,電界分布そして転写効率をシミュレーションした.転写効率は計算結果と実測値との比較を行い,両者は良い一致を示すことを確認した.
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