日本画像学会誌
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45 巻, 4 号
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原著論文
  • 寺尾 博年, 荻山 理, 小林 浩, 新田 勇
    2006 年45 巻4 号 p. 308-314
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/09/08
    ジャーナル フリー
    熱転写プリンタの印刷方式は,インクと紙をサーマルヘッドにより直接加圧した上で,同時に印刷したい部分を加熱することで,インクを紙の最表面ににじむことなく定着する印刷方式である.したがって,接触圧力が最も高くなる位置にサーマルヘッドの発熱体を設計する必要がある.サーマルヘッドへの接触圧力解析には有限要素法(FEM)を用いて計算した.計算に用いたインク,PET,およびプラテンゴムの粘弾性物性値はレオメータで測定した.粘弾性変形を考慮した場合の接触圧力は,弾性変形のみで得られたものと異なっていた.印刷品質への接触圧力の影響を調べるためにサーマルヘッドの発熱体の位置を変えたサンプルを用いて印刷濃度を測定し,発熱体の位置によって印刷濃度が変わることを確認した.印刷実験によって計算で求めた接触圧力解析結果の妥当性が検証され,この解析を用いることによってサーマルヘッドの設計が可能であることを確認した.
  • 橋本 雄一, 長谷川 和香, 津吉 直子, 不藤 亮介, 桑原 知美, 押村 雅彦, 浅野 正
    2006 年45 巻4 号 p. 315-320
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/09/08
    ジャーナル フリー
    オフィスから出るゴミの多くは紙ゴミであると共に,紙の製造には森林破壊やCO2排出などの問題を伴う.このような背景の元,再生紙プロセスを用いない紙のリライタブルプリンティングシステムは,紙を複数回リユースして使用することが可能なため,紙ゴミの削減には非常に有効な手段である.最近,我々はバイオ技術を用いたインクと紙に加え,電子写真で広く用いられている放電技術を組み合わせた新規のリライタブルプリンティングシステムを開発した.インクジェット方式によりバクテリアルセルロース/シリカ複合紙上にモナスカス色素インクを印字した後,コロナ放電処理を施すとインク色素が退色し,複数回の印字/消去プロセスが可能となった.色素の退色は,多孔質シリカ表面に分散された色素分子に対し,放電で生成した酸化性ガス(オゾン)が色素分子の二重結合を開裂した結果引き起こされた現象と考えられる.
  • 水口 仁
    2006 年45 巻4 号 p. 321-327
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/09/08
    ジャーナル フリー
    2種類の新規な一成分系黒色顔料について解説した.第1番目はベンズイミダゾ·ペリレン黒色顔料で,分子固有の吸収バンドと分子間相互作用に由来するバンドの双方で可視領域を覆い尽くすものである.本顔料の特徴は色調もさることながら,耐光性·耐熱性に優れ,電気的に絶縁体で,かつ赤外線領域にも吸収を持たないことである.一方,第2番目の黒色顔料はピロロピロール顔料の単結晶育成の過程で偶然に得られたもので,基本的にはオートクレーブ内でペンタンジオールと硝酸を反応させる方法である.得られた黒色顔料は十分な顔料特性を備え,電気的にも絶縁体である.しかし,上述の反応によりどのような化合物が生成しているかの詳細はまた明らかではない.
  • Tsuyoshi HIROTA, Tomohiko IMODA, Hiroo TAKAHASHI, Jin MIZUGUCHI
    2006 年45 巻4 号 p. 328-336
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/09/08
    ジャーナル フリー
    We have previously developed a high-sensitive H2 gas sensor utilizing a high proton affinity of p-dipyridyldiketopyrrolopyrrole (p-DPPP). The sensor exhibits a remarkable reduction of the electrical resisitivity by two orders of magnitude under 0.05% H2 due to protonation at the para-site of the pyridyl ring. The present outstanding result motivated us to further investigate o- and m-derivatives in order to achieve an even better performance. However, the performance of these isomers was extremely poor. For this reason, the present investigation has been carried out in order to clarify the mechanism of the poor sensitivity from the standpoint of the electron delocalization (i.e. electron conduction) within the molecule as well as the electron hopping from one molecule to another (i.e. structural problem). As for the electron delocalization in p-DPPP, the change in electron density at the para-site(due to e.g. protonation)is found to be well propagated throughout the molecule, while those at the o- and m-sites are ineffective. This explains why p-DPPP is much superior for H2 gas sensors to o- and m-DPPPs. Another support is also given by the structure analysis of o-, m-, and p-derivatives. The N atom of the pyridyl ring (that serves as the antenna for protonation) remains unbonded (i.e. free) in p-DPPP and is capable of accepting protons. On the other hand, the N atoms are totally blocked by the formation of NH…N hydrogen bonds in o- and m-DPPPs. The above molecular and crystallographic considerations lead us to conclude that p-DPPP is, by far, advantageous to H2 sensors over o- and m-DPPPs.
Imaging Today
  • 村瀬 研也
    2006 年45 巻4 号 p. 338-343
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/09/08
    ジャーナル フリー
    本稿では医用画像の臨床現場での利用について解説する.まず,臨床現場で利用されている種々の領域抽出法や輪郭抽出法を紹介する.次に,臨床現場で用いられている3次元画像表示法について,表示例を示して概説する.更に,臨床現場で利用されている動画像処理の例を紹介する.次に,最近の医用機器の進歩に伴って血流や代謝に関連した機能画像の作成が可能になってきていることについて触れる.また,それに関連して臨床現場では機能画像と形態画像との融合の重要性が増していることについても触れる.最後に,最近のコンピュータ支援診断の動向についても述べる.
  • 山崎 達也
    2006 年45 巻4 号 p. 344-351
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/09/08
    ジャーナル フリー
    X線(レントゲン)写真の特徴,最新の診断X線撮影装置とその技術,X線画像の画質評価,画像処理,そして今後の展望について説明する.X線の特徴の一つは波長が極めて短い(約0.05nm)ことであり,多くの点で通常の写真と異なる.従来はフィルムや光電子増倍管が使用されてきたが,最近はX線平面検出器(FPD: flat-panel detector)搭載のデジタルX線撮影装置が開発され,撮影後ただちに画像表示できるシステムが実現されている.被曝への配慮からX線は波動と粒子の2面性が現れるほど制限されており,検出器の感度はもちろんのこと,画像の評価に関しても検出量子効率など特別な考え方が必要である.これらデジタルX線撮影装置では,センサ特性を補正するとともに診断を容易にするための各種画像処理も用意されており,より診断価値の高い画像の提供を目指している.
  • 島西 聡
    2006 年45 巻4 号 p. 352-355
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/09/08
    ジャーナル フリー
    医療画像の標準規格としてDICOMが発表されて13年の月日が流れた.現在,医療画像の標準規格としてDICOMは一般的に扱われている.本稿ではDICOMの概要を平易に解説する.
  • 此下 幸栄
    2006 年45 巻4 号 p. 356-360
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/09/08
    ジャーナル フリー
    医用画像のハードコピーシステムとして,サーマルプリンターは,小型,高画質,高速出力,高い信頼性,低騒音という特徴から医療現場に於いて広く活用されている.特に超音波診断装置や電子内視鏡の参照画像出力用として,それぞれモノクロ感熱紙プリンター及び昇華熱転写カラープリンターが標準的に用いられるようになっている.本稿ではこれら医用参照用画像の出力用として使われるサーマルプリンター用感熱記録材料に要求される特性及び性能について解説する.
  • 大関 智之, 原 敏雄
    2006 年45 巻4 号 p. 361-369
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/09/08
    ジャーナル フリー
    CR/CT等の画像診断技術の進展,病院内インフラ整備に伴い,医療診断画像のデジタル化が急速に進んでいる.このような環境下,医療用デジタルイメージング材料,中でも現像液処理を伴わないドライ方式の医療用記録材料がますます重要になってきている.ドライ材料には大きくわけてフォトサーマル方式とサーマル方式がある.フォトサーマル方式とサーマル方式は,それぞれ画素数,機器サイズ,処理速度において特質があり,それぞれに適した使用領域がある.前者が大病院の集中処理に適し,後者は小規模病院,開業医,大病院での各診療科分散処理に適している.医療診断イメージング材料として求められる技術としては,両方式ともに広いダイナミックレンジを有すること,処理能力,濃度の安定性と均一性,出力後の画像安定性,診断に適した純黒色の色調などが求められる.本解説ではこれらの要求事項に対する両方式における最近の技術内容を解説する.
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