日本画像学会誌
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47 巻, 4 号
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日本画像学会と関連技術の歩み
  • 今井 力
    2008 年 47 巻 4 号 p. 227-234
    発行日: 2008/08/10
    公開日: 2008/08/13
    ジャーナル 認証あり
    日本画像学会創立50周年記念に際し,学会発足の1958年を起点に,電子写真プロセス技術を,企業,世の中の動静,学会活動の発展とあわせ,振り返ってみた.
    海外の技術に学んだ日本における電子写真技術の黎明期から,日本発の技術が社会,ビジネスへ貢献する現在に至るまで,デジタル,カラー技術を含め,多くの電子写真作像プロセス技術が開発されてきたが,学会の活動もそれに寄与してきた.
    現在までに,複写機,プリンタの速度,品質,利便性をより高めるとともに,環境への対応技術等を追求してきたが,ペーパーレス構想に対するハードコピーの是非,インクジェット,印刷技術に対する電子写真の優劣という,今まで以上の難しい戦いを強いられる今日,日本画像学会の果たすべき役割は大きい.
  • 丸田 将幸
    2008 年 47 巻 4 号 p. 235-240
    発行日: 2008/08/10
    公開日: 2008/08/13
    ジャーナル 認証あり
    ヒカゲノカズラの胞子からスタートした電子写真現像剤は使用される現像システム特性および要求画質を満たすよう種々の特性のトナー/キャリアが開発されてきた.また,安定な帯電性を維持できるよう種々の帯電制御剤などの素材も開発され高機能化されてきた.一方,定着工程においては樹脂の分子量分布の制御,離型剤の開発などによりヒートロール定着システムの導入を可能とした.更に,新規なポリエステル樹脂などの開発により低温での定着を可能とし電子写真の省エネルギー化/高速化に貢献してきた.また,既に1970年代にはフルカラートナーが製品化されており,現在では種々の改良によりオンデマンド印刷の分野でも十分に使用可能な高画質な印字を達成しており,今後の技術的,商業的な伸張が期待されている.
  • 藤井 雅彦
    2008 年 47 巻 4 号 p. 241-250
    発行日: 2008/08/10
    公開日: 2008/08/13
    ジャーナル 認証あり
    インクジェットの誕生につながる研究をはじめとし,インクジェットの研究,開発活動,および製品動向をまとめることでインクジェットの歴史を振り返った.また最近の技術動向から,今後のインクジェットの性能向上や応用などの進展について展望を述べた.現在のインクジェット技術は20世紀中ごろの発明当初に期待されていた性能,役割をほぼ満たしていると思われ,小型カラープリンタとしてその特徴は十二分に開花した.
    現在,インクジェットはその性能を一段と向上させ,マーキング技術としての新しい役割を担おうとしているだけでなく,デジタルファブリケーションなど,全く異なる用途への展開も図られようとしている.そこには高いハードルとこれまでにないアプローチの必要性が予想されるが,その先にはインクジェットが引き起こす大きなイノベーションが期待できる.
  • 五十嵐 明
    2008 年 47 巻 4 号 p. 251-257
    発行日: 2008/08/10
    公開日: 2008/08/13
    ジャーナル 認証あり
    サーマル記録技術の歴史を俯瞰した.サーマル記録は今から80以上前に考案され,今なお発展し続けている.その特徴は簡易,高信頼,低コストである.これらの特徴は,1962年にサーマルヘッドが発明されたことによりもたらされたものである.
    サーマル記録は様々な方法が提案されており,その多様性が多くのニーズを生んできた.さらに,カラー記録やリライタブル記録も実現してきた.サーマル記録は,我々の気づかないところで生活に浸透している技術である.
  • 小寺 宏曄
    2008 年 47 巻 4 号 p. 258-266
    発行日: 2008/08/10
    公開日: 2008/08/13
    ジャーナル 認証あり
    西暦2000年にグーテンベルグ生誕600年を迎え,進展目覚ましい画像技術は新しい情報化時代の幕を開けた.高品位カラーイメージング技術の進化と薄型FPDや電子ペーパ等の革新的デバイスの出現に伴い,審美でリアルな画像再現への希求は尽きるところがない.デジタル画像処理技術はNIPおよび情報ディスプレイ技術を支える裏方として重要な役割を担ってきた.次世代のカラーイメージング技術にとって,さらに知的な成長が求められるであろう.視ることのソフトウエアとの協調が,知能的で望むらくは知的な画像処理への進化の鍵となる.本稿では,NIP分野を中心にカラー画像処理手法の歴史的発展の跡を振り返りながらその応用について紹介させて戴く.
  • 堀田 吉彦
    2008 年 47 巻 4 号 p. 267-273
    発行日: 2008/08/10
    公開日: 2008/08/13
    ジャーナル 認証あり
    ここ数年,電子ペーパーという言葉をよく見かけるようになってきた.“電子ペーパー”は,“技術”というより“コンセプト”を表わしているため,電子ペーパーを実現する技術は,多岐に渡っている.技術委員会第7部会(電子ペーパー部会)は,1993年に第6部会の中にWGとして設立され,その後何回かの改組を経て,現在まで活動を継続している.その間,年1回の研究会を開催して,多岐に渡る電子ペーパーの技術を紹介してきた.
    電子ペーパーには,外部駆動タイプと内部駆動タイプがある.外部駆動タイプの代表例はサーマルリライタブル記録であり,カード表示用途に広く使われている.内部駆動タイプは,粉体,粒子,液晶などを利用した技術の研究開発が盛んに進められており,電子書籍として実現ざれている.電子ペーパーの技術は日本発のものも多いが,内部駆動タイプでは海外での実用化が先行している.その理由はコンセプト提案力の差から来ていると考えられる.電子ペーパー技術開発の次の方向と考えられる“カラー化”では日本発のコンセプト提案を期待したい.
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