日本画像学会誌
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48 巻, 4 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
原著論文
  • 藤井 雅彦, 森 一浩
    2009 年 48 巻 4 号 p. 244-254
    発行日: 2009/08/10
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    インクジェットプリントヘッドから吐出された微小インク滴の飛翔軌道は,用紙の移動によって生じる気流の影響を受け,用紙上で着弾位置ずれを生じさせる.高画質化のためにインク滴を微小化し,高速化のためにプリントヘッドと用紙の相対速度を早くするとこの問題はより大きくなる.
    本報では,計算機シミュレーションにより用紙が移動している系でのインク滴飛翔挙動(着弾位置ずれ)を計算するとともに,生じている気流の解析からこの挙動を説明した.特に単独ノズルからインク滴が吐出される単純な場合においては,インク滴の初速,滴量,用紙移動速度が位置ずれ量に及ぼす影響や,異なる大きさのインク滴が形成するドット間の相対的な位置ずれを検討した.またマルチノズルから連続的にインク滴が吐出される場合において,プリントパターンが軌道ずれに及ぼす影響を検討し,この影響がノズル位置によっても異なることを明らかにした.さらに連続的に吐出されるインク滴群が形成する流束と気流との衝突などによって生じる気流変化を解析することにより,軌道ずれのプリントパターンやノズル位置依存を考察した.
  • 入江 満
    2009 年 48 巻 4 号 p. 255-258
    発行日: 2009/08/10
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    本研究は,ディジタル画像のアーカイバル保存を目的とした光ディスクの信頼性寿命の標準測定手法を確立することを目的としている.
    本論文では,国際標準規格として提案されている加速試験による寿命データ,アイリング加速試験モデルと統計解析手法を高密度追記型光ディスク(DVD-R)に適用してアーカイバルグレードの期待寿命推定法を検討した.DVD-R故障分布は,正規対数分布によってモデル化できることを実験的に確認し,パラメトリック統計解析を用いて期待寿命を推定した.
    その結果,アイリングモデルとパラメトリック統計解析にもとづく光ディスクの寿命推定法は,保管条件を温度と相対湿度のみとした場合,信頼水準を規定してアーカイバルグレードを判別する期待寿命の推定が可能な方法であることを確認した.
  • Ryo IWAMOTO, Hirotaka HIRAMATSU, Jin MIZUGUCHI
    2009 年 48 巻 4 号 p. 259-264
    発行日: 2009/08/10
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    We are involved in complete removal of VOC (volatile organic compounds) by the use of thermally generated holes in oxide semiconductors. In the present investigation, we have studied VOC decomposition characteristics of Cr2O3+x (0<x<1) in a fluidized bed system, as well as in a honeycomb-like cartridge system which includes 15 mesh disks coated with Cr2O3 powders. In both systems, Cr2O3+x is found to exhibit an excellent decomposition characteristic which even exceeds that of the TiO2 system, although the specific surface of Cr2O3+x (3m2/g) is only 1/100 of powdered TiO2 (298m2/g).
解説
  • 荻野 正彦
    2009 年 48 巻 4 号 p. 266-269
    発行日: 2009/08/10
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    世界最大の印刷機器展示会である昨年のドルッパはインクジェットドルッパと呼ばれ,多くのメーカーから新しいインクジェットコンセプトが発表された.これに加え従来からのデジタルプレスベンダーも多くのマシンをそろえ健在振りを示していた.これらのデジタル機器に対して印刷機陣営はというと,大型化,高付加価値化を前面に出し,生産性の高さ,完成度の高さを誇っていたように思う.今回は最新の印刷における付加価値印刷に焦点を当て解説を行う.
  • 檀浦 幹夫, 桑原 浩嘉, 柴田 信義, 渡辺 辰洋
    2009 年 48 巻 4 号 p. 270-273
    発行日: 2009/08/10
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    インラインUVキャスティング・フォイリングシステムは,B2判オフセット多色印刷機RYOBI 750G/750シリーズに搭載することにより,印刷物にホログラム加工や箔押し(フォイリング)加工をインラインで可能にしたシステムである.主な特徴は以下のとおりである.
    1)1台でホログラム加工または箔押し加工が,印刷とインラインで可能.
    2)RYOBI 750G/750シリーズに搭載できるため,省スペース化が可能.
    3)UVランプは,UVキャスティング・フォイリングユニット部と排紙部で兼用が可能であり,約3分で移動可能.
    4)グリッパーで確実な用紙の搬送をするため,安定した見当精度でホログラム加工や箔押し加工が可能.
    5)ホログラム加工や箔押し加工をしない時,UVランプユニットは上昇し,通常印刷時の用紙搬送に影響を及ぼさない.
  • 渡部 壮周
    2009 年 48 巻 4 号 p. 274-276
    発行日: 2009/08/10
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    ホログラムとは,被写体(物体)から反射された位相情報と振幅情報を持つ物体光と,参照光とを干渉縞として記録材料に記録したものであり,距離情報を含むため完全な3次元像を再生することが可能である.
    ホログラムには,干渉縞を材料表面の凹凸として記録するエンボス型と,干渉縞を材料内部の屈折率分布もしくは透過率分布として記録する体積型がある.最近の技術として,前者は,コンピュータグラフィックス(CG : Computer Graphics)の3次元形状データを物体光として,参照光との干渉縞を計算機上で計算し,生成された干渉縞データを電子線(EB : Electron Beam)描画装置を用いて凹凸形状に微細加工することで作製される計算機合成ホログラム(CGH : Computer Generated Hologram)について,後者は,模型等の実物を,レーザーを用いて体積型記録材料に記録し,色再現性,立体感に優れたホログラム像を再現できるリップマンホログラムについて記載する.
  • 三浦 高行
    2009 年 48 巻 4 号 p. 277-284
    発行日: 2009/08/10
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    樹脂可塑性プラスチックの種々な成形法の中において,板又はフィルム状に二次成形されたものを再度熱して軟らかくし,雄・雌どちらか一方のみの型を使用して,気体(大気圧力・圧縮空気圧力)の力で型に押しつけて成形する真空成形法(圧空成形法)は,日本においてもセルロイド板の湯絞り成形にその原点を見られる如く古くから利用されていた.この市場は成形材料が二次加工品であることで,製品の原価構成において不利な点もありniche市場としてしか存在し得なかった.しかし,大型成形,型の安価な特長が生かされ,他の成形法ではなし得ない独特な成形法として一部の商品には独占的に活用されていた.この成形法の短所を改善し,今迄の真空・圧空成形法と比べ革新的な成形法として次世代成形法(NGF成形)が開発された.その最大の特長である真空孔を必要としない型の使用法が更に改善され3次元加飾工法(TOM工法)を生み出した.本稿はその過程と今後の期待される展開について紹介する.
  • 加藤 久人, 五井 克典, 中嶋 尚子
    2009 年 48 巻 4 号 p. 285-289
    発行日: 2009/08/10
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    布帛にプリントする捺染工程では従来のスクリーン捺染に比較して,短納期で少量多品種が可能なインクジェット捺染が近年用いられるようになった.布帛にインクジェットプリントする場合,紙用インクジェットプリント技術に加えて人体に対する安全性や洗濯しても色落ちしないなどの布帛固有の特質を考慮したインクジェット技術が必要である.また射出安定性を確保するため反応捺染インク,酸性捺染インクにおける染料の溶解性向上や再析出制御,さらに分散捺染インクにおける染料の沈降制御や結晶成長防止が不可欠である.本報ではこれら上記技術の取り組みと今後の見通しについて紹介する.
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