日本画像学会誌
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49 巻, 3 号
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原著論文
  • 戸泉 潔, 芝井 康博, 中村 雅, 松坂 修二
    2010 年49 巻3 号 p. 154-158
    発行日: 2010/06/10
    公開日: 2010/06/13
    ジャーナル フリー
    トナー・磁性キャリア間の付着強度分布を測定する新しい手法を開発した.少量の磁性二成分現像剤を磁石の上に散布すると,キャリアは壁面に対して垂直に立ち並び,磁気ブラシを形成する.この磁石を高さ1mm,幅8mmの矩形流路内に取り付けて,空気流速を一定の割合で上げると,トナー粒子はキャリアから分離する.飛散したトナー粒子を光散乱式検出部で測定し,空気流速に対する飛散粒子量から付着強度分布を求める.1回の測定に必要な現像剤は20mgであり,測定時間は5分間である.本研究では,ケミカルトナーおよび粉砕トナーを用いて,トナー・キャリア間の付着強度分布に及ぼす比電荷の影響を評価した.
Imaging Today
  • 門永 雅史, 川本 広行
    2010 年49 巻3 号 p. 160-166
    発行日: 2010/06/10
    公開日: 2010/06/13
    ジャーナル フリー
    本稿では,近年めざましく発展している電子写真シミュレーションの最近の動向を紹介する.開発期間短縮,高画質,小型化,低コストのため,製品開発にシミュレーションが活用され始めてきた.特にコンピュータの飛躍的な性能向上により,かつては不可能と思われていた計算がパソコンで実現可能となった.また1次元,2次元,3次元と解析次元が進むことでより実践的なシミュレーションが可能となり,帯電・露光・現像・転写・定着・クリーニング・紙搬送・トナー付着力など電子写真のあらゆる課題にシミュレーションが適用されている.本稿では,感光体周囲のプロセスの事例を中心に紹介していく.
  • 三尾 浩
    2010 年49 巻3 号 p. 167-173
    発行日: 2010/06/10
    公開日: 2010/06/13
    ジャーナル フリー
    本稿では,これまで筆者らが開発を進めてきたDEMによる,2成分電子写真システム現像部におけるシミュレーション結果を簡単に紹介した.オーガスクリューにおける粒子攪拌挙動や,パドル攪拌プロセスにおけるトナー帯電量の影響.また,現像ニップ周りの磁界が磁気ブラシ挙動に及ぼす影響 (タッチダウンプロセス) や,2成分現像プロセスでの,帯電量が感光体上の潜像への現像量に及ぼす影響について報告した.
  • 佐々木 豊成, 依田 寧雄, 冨澤 岳志
    2010 年49 巻3 号 p. 174-181
    発行日: 2010/06/10
    公開日: 2010/06/13
    ジャーナル フリー
    カラー電子写真の転写プロセスは,感光ドラム,転写ローラ,中間転写ベルト,トナー,紙,除電針など様々な部材から構成される.そしてこれらの部材がお互いに影響を及ぼしあって電気伝導,火花放電,コロナ放電を伴う電界を形成し,トナーを転写させるとともに,紙を帯電させて静電力で変形させる.我々は転写プロセスで発生する物理現象メカニズムを解析すると共に,ロバストな設計のためのラチチュードを明示することを目指して,上記複合物理現象を考慮可能なシミュレータを開発した.完成したシミュレータを中間転写システムに適用し,電流電圧特性,放電光,トナー飛び散り,転写媒体の搬送性の計算結果が実験とよく一致することを確認した.開発したシミュレータは,物理現象メカニズムの解析と設計ラチチュードの見積もりに有用である.
  • 長谷部 恵
    2010 年49 巻3 号 p. 182-190
    発行日: 2010/06/10
    公開日: 2010/06/13
    ジャーナル フリー
    定着ニップ内のトナー溶融変形挙動を直接シミュレーションする新しい解析技術を開発した.解析手法に,固体・液体・気体の統一解法として知られるCCUP法,トナーレオロジーの構成方程式にLeonovモデルを適用した.本解析技術では,定着ニップ内においてトナーを積層した粒子として扱い,温度履歴により変化するトナーの粘弾性特性とニップ圧を考慮したトナーの変形解析が可能である.トナーの粘弾性特性を,マルチモードMaxwellモデルの理論式より実測データをフィッティングして再現し,また温度特性はWLF (Williams-Landel-Ferry) 則を適用して,任意温度での対応を可能とした.ここでは,これらの解析技術を解説するとともに,実際の定着パラメータによる溶融解析例を示す.
  • 伊藤 朋之, 中山 信行
    2010 年49 巻3 号 p. 191-199
    発行日: 2010/06/10
    公開日: 2010/06/13
    ジャーナル フリー
    電子写真システムの開発・設計に対するシミュレーションの適用について,富士ゼロックスにおける取り組みを事例として解説する.近年,電子写真プロセスの多くの物理メカニズムが解明され,シミュレーションによる予測技術が確立されつつある.商用の汎用シミュレータの普及とも相まって,その効用についての認知度が高まり,開発,設計に適用して効果をあげる事例が増えている.適用の形態は様々である.技術開発期を中心とする新規課題に対しては,モデルを構築・適用して解決指針を提示する役割を果たし,さらにモデルの信頼性が高まるにつれて,最適設計への適用が可能になっていく.商品開発では特にシステム設計,ロバスト設計などに活用することで高い効果が得られている.また,開発プロセスへのシミュレーションの導入にあたっての課題もあり,適切な環境の構築と,他の諸施策との連携が重要である.
  • 吉川 慈人
    2010 年49 巻3 号 p. 200-204
    発行日: 2010/06/10
    公開日: 2010/06/13
    ジャーナル フリー
    可視化の目的の一つに研究成果を他者に理解させるということがあるが,近年はその重要性が増している.3次元の複雑な現象を理解するためには立体視が効果的である.立体視用プロジェクタや立体視用ディスプレイが安価になり,立体視の環境が整ってきた.立体視による仮想空間の中に入り込める没入型VR (Virtual Reality:仮想現実) システムの利用も効果が高い.また,デジタルカメラ付きの小型情報端末の普及により,AR (Augmented Reality:拡張現実) も注目されてきている.AR技術を使って,実写の映像に可視化結果をリアルタイムに合成できる.本稿では,最新のIT機器や映像機器を用いたビジュアリゼーション技術について,ハードウェアとソフトウェア環境の両方から解説する.
  • 酒井 真理
    2010 年49 巻3 号 p. 205-213
    発行日: 2010/06/10
    公開日: 2010/06/13
    ジャーナル フリー
    インクジェットプロセスでは,ヘッド駆動で形成される微小液滴が飛翔し,記録媒体上に液滴の集合としてパターンを形成する.ヘッド駆動によるヘッド内のインクの挙動は,回路モデルで見通し良く精密に計算することができる.液滴形成の計算では,液体表面の表現方法を組み込んだ流体力学プログラムと回路モデルの組み合わせが有効である.非浸透性の基板の場合には,液膜パターンの形成から乾燥による固体膜形成までのプロセスで,表面張力,濡れ挙動,蒸発誘起の流れがパターン形状に大きな影響をもたらす.
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