日本画像学会誌
Online ISSN : 1880-4675
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50 巻, 4 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
原著論文
  • 小笠原 正
    2011 年 50 巻 4 号 p. 280-286
    発行日: 2011/08/10
    公開日: 2011/08/13
    ジャーナル フリー
    近年,電子写真記録システムの高画質化や長寿命化のため,ケミカルトナーや長寿命感光体が使用されている.その際,信頼性を確保するためにクリーニングプロセスの役割が重要視されているが,トナーや外添剤などの動的挙動や,それらの粒子が他に及ぼす影響など,未解明の事象が多いのが現状である.そこで,これらの事象を解明するために可視化が最も有効な手段と考え,ガラスドラムを用いた可視化観察システムを構築して実機をシミュレートし,果因に基づき現象を解明する試みを行った.その結果,スティック・スリップなどブレードクリーニングの基本的な現象を可視化し,詳細を明らかにした.また,プレニップにおけるトナーや外添剤の流れを解析し,プレニップ最先端部に凝集している外添剤の研磨作用が感光体磨耗の主要因であるという磨耗メカニズムを明らかにした.
Advanced Technology
  • 伊丹 明彦
    2011 年 50 巻 4 号 p. 288-293
    発行日: 2011/08/10
    公開日: 2011/08/13
    ジャーナル フリー
    電子写真方式を用いたデジタル印刷機器のプロダクション市場への進出が拡大している.これに伴い,有機感光体にも更なる高画質,高信頼性が求められるが,とりわけプリントコストの観点から長寿命化の要求が高まっている.近年,ハイブリッド材料を用いた表面保護層が開発され,感光体の寿命は大幅に改善している.本稿ではハイブリッド材料の応用例として,幅広く実用化されている有機感光体の表面層技術を解説するとともに,最近の各社の開発動向について紹介する.
  • 西村 達也, 坂本 健, 加藤 隆史
    2011 年 50 巻 4 号 p. 294-300
    発行日: 2011/08/10
    公開日: 2011/08/13
    ジャーナル フリー
    有機物質と無機物質を分子レベルで融合させることにより,双方の機能を凌駕する高機能材料が得られる.生体に見られる歯や骨などの有機/無機複合体 (バイオミネラル) は高強度・光学特性・磁性特性・自己修復能などの機能を持っており,次世代人工複合材料の良いモデルである.生体分子による無機塩の結晶成長制御,すなわち「分子制御」によるバイオミネラルの形成機構を学び,そのエッセンスを取り出して材料開発へ応用する研究が近年盛んに行われている.本稿は貝殻真珠層の形成過程における生体高分子の働きや,バイオミネラルに学び設計された高分子を用いる有機/無機複合体の作製について述べる.
  • 八名 拓実, 高野 慶, 橋本 剛
    2011 年 50 巻 4 号 p. 301-307
    発行日: 2011/08/10
    公開日: 2011/08/13
    ジャーナル フリー
    近年,ナノ材料の開発・研究はますます活発になっており,カーボンナノチューブ (CNT) はその中でも様々な高機能を持った代表的な材料の一つである.しかし,その材料の取り扱いの難しさから,CNTを利用した製品は発見から数十年経った今までそれほど多くは出てこなかった.特に単層CNTは多層CNTに比べ電気伝導性,熱伝導性等の物性値は勝るものの,大量合成技術が確立しておらず,研究所や大学等の研究機関で使用されることが殆どであった.しかし,ここ数年の間に単層CNTの大量合成方法が次々と提案されており,それに伴い単層CNTを用いた製品開発も世界的に加速度的に進んできている.本稿では筆者らが開発した,単層CNTを用いた導電性ペーストを紹介しながらCNTのコンポジット材料としての可能性を論じていく.これはリチウムイオン二次電池,導電膜,導電性接着剤等の実に幅広い応用が考えられ,既存のカーボン材料と比べ1/10程度の使用量で済むため,小型化・軽量化が求められる現在には非常に需要にあった分野であると言えよう.
  • 永禮 三四郎
    2011 年 50 巻 4 号 p. 308-312
    発行日: 2011/08/10
    公開日: 2011/08/13
    ジャーナル フリー
    粒子の表面に別の物質をコーティング,固定化することは,例えば耐摩耗性,耐薬品性,耐熱性などの向上,電気伝導性,触媒機能,徐放性などの付与,ぬれ性の制御など,品質の向上や新規材料の開発において,電池材料,磁性材料,センサー,生体材料,医薬品,食品,塗料・顔料,化粧品,耐磨耗材料,自動車部品,ディスプレイ材料,電子材料など,あらゆる工業分野で非常に注目されている技術である.本稿では微粒子をキャリアとなる母粒子の表面に固定化・成膜化し,粒子表面で新しい機能を発現させるハイブリダイゼーションシステムについて説明する.
  • 武藤 浩行, 羽切 教雄
    2011 年 50 巻 4 号 p. 313-318
    発行日: 2011/08/10
    公開日: 2011/08/13
    ジャーナル フリー
    微粒子の複合化において,原料粉末に機械的なエネルギーを付与することで複合化する手法が一般的であるが,本研究では,粒子表面の電荷を制御することで,母材粒子と添加粒子間に働く静電相互作用を利用した新規な複合法を提案した.二種類の高分子電解質を用いることで,十分な電荷密度を有する粒子を調整し,静電吸着させることで母材表面に添加粒子を均一に被覆することができる.本稿では,静電吸着複合法の詳細を実例を示しながら解説する.また,得られた複合粒子の形態を制御することで,微構造の異なるナノ複合材料を作製した例について紹介し,本手法の有用性を示す.
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