コミュニティ政策
Online ISSN : 2186-1692
Print ISSN : 1348-608X
ISSN-L : 1348-608X
8 巻
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
巻頭言
第8回大会
基調講演
鼎談
特集論文
自由投稿論文
  • ―京都市都心部の町内・元学区を事例として―
    田中 志敬
    2010 年 8 巻 p. 95-116
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/01/31
    ジャーナル フリー
    都心部を中心にマンションストックが増え続ける中で、地域コミュニティでは2つのリスクが存在している。1つは元々の地域コミュニティの担い手が不足し、地域運営ができなくなった結果おこりうる、地域のスラム化のリスクである。もう1つは、マンション内コミュニティが形成されず、適正なマンション管理運営ができなくなった結果起こりうる、マンションのスラム化のリスクである。マンション居住者が地域コミュニティの運営に参画することで地域コミュニティの再生がはかられ、地域での交流がマンション内コミュニティの形成の一助となる好循環が実現すれば、論理的あるいは長期展望では、両者のリスク回避へとつながっていく。
    本稿では、このマンションストックの増加に伴う地域コミュニティの運営のあり方に着目し、京都市都心部の町内・元学区を事例として、その課題と展望を指摘する。
  • ―大阪市「生野区南部地区整備事業」の事例をとおして―
    松本 裕彦
    2010 年 8 巻 p. 117-137
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/01/31
    ジャーナル フリー
    大阪市は、生野区南部地区を住宅密集市街地整備の先導的役割を果たすモデル事業として指定し、公共施設の確保や建築物の不燃化を促進するなど地区全体の防災性の向上を推進することを目指している。
    事業手法としては、「住宅市街地総合整備事業」や「住宅地区改良事業」を中心に、多様な事業手法を複合的に合併施行することとしており、具体的な事業内容については地縁型団体と協働して推進している。
    しかし、行政と地縁型団体との協働の過程は、多くの地元住民がそれぞれの事業に複雑な利害関係を持っているために平坦なものではなかった。
    本研究では、「生野区南部地区整備事業」の事例をとおして、当地区において地縁型団体が果たした実態をふまえて、都市開発における地縁型団体と自治体の政策転換との関係について考察する。
    本事例についての実証的研究から、地縁型団体は否定的な存在ではなく、住民の活動状況に応じて流動的に発展する存在であること、また、行政の側にも都市開発における住民への柔軟な対応の必要性を認識し、従来の政策を転換する姿勢が認められた。
    考察の結果、まちづくりにおいて当地区の地縁型団体が試行錯誤を繰り返す過程で、画期的な成果を生み出したことが明らかになり、他地区の先進事例とは異なった形で、共同管理の主体に発展していることが示された。
  • ―丹波市旧柏原町の自治協議会を事例として―
    山本 素世
    2010 年 8 巻 p. 138-159
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/01/31
    ジャーナル フリー
    新たな範域で地域自治組織が設立された際に、その範域が従来の住民組織と異なる場合、どの組織が住民を代表するのかは、住民の合意形成に関わる課題である。
    丹波市では、合併後に旧町の範域ではなく小学校区での自治協議会の設立をすすめた。本稿で事例とする旧柏原町は、合併前に小学校区を範域とする地域自治組織のなかった地域であり、住民の活動範域の変化となった。本稿では、まず丹波市の特徴をとらえ、自治協議会を旧町ではなく、小学校区を範域とした理由を探った。また、従来からある自治会や自治会長会の範域の状況を確認した。次に、旧柏原町の2つの自治協議会について、活動や地域での位置づけについて検討し、一方は事業の執行機関として、他方は合意形成機関であり事業の執行機関であることを見いだした。
    地域の住民代表性については、旧柏原町では、旧町を範域とする自治会長会が存しており、旧町全体の実体的な地域の合意形成機関である。しかし、一方の自治協議会においては、自治協議会が地域の実体的に合意形成機関となったため範域の不整合がおきていることを指摘したい。
    本稿は、範域の問題は、総合計画の地区別計画など地域づくりを住民参加で考える際に、どの機関がその地域を代表するのか、にかかわる重要な課題であることを見いだした。
  • ―フェニックス市の「落書き・違反広告物除去プログラム」を事例として―
    若杉 英治
    2010 年 8 巻 p. 160-179
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/01/31
    ジャーナル フリー
    近年、日本の地域社会では市民の健康で安全な生活を脅かす空き缶・吸殻のポイ捨てや落書きといった環境美化の問題に対して、市民との協働により解決を試みる地方自治体が増加している。
    地域社会の公共的問題を解決する際に市民が行政とともに大きく関わっているアメリカの協働型事業における市民と行政のとの関係性を解明し、日本の事例と比較研究するとは意義のあることと考える。このため本稿は、アメリカのフェニックス市が実施する落書き・違法広告物除去プログラムを事例として、同プログラムに参加する市民に対してアンケート及びインタビュー調査を実施した。
    分析の結果、アメリカの地域社会における協働型事業は組織化された市民主導の団体と行政とにより協働が行われており、市民主導による団体は、行政が用意したプログラムと自らが目指すものが一致すれば、協働が起こりえるのであって、行政から言われたから協働しているわけではないことがわかった。
feedback
Top