日本補完代替医療学会誌
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7 巻, 2 号
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総説
  • 久保田 隆廣, 吉岡 慎一, 川越 信秀, 豊田 剛史, 石橋 範人, 鈴木 信孝
    原稿種別: 【総説】
    2010 年 7 巻 2 号 p. 67-74
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/15
    ジャーナル フリー
    薬物間相互作用に関する情報は医薬品の副作用発現を回避するために有用です.安全性に対する取組みは同じく健康食品やサプリメントにも求められています.薬物―サプリメント間の相互作用に関する情報は,薬の吸収・分布・代謝・排泄らの薬物動態過程を理解したうえで検討することが極めて重要です.なかでも薬物体内動態における相互作用は,薬物代謝酵素であるチトクロム P450 (CYP) の阻害や誘導によるものが大半を占めます.その意味からもヒト肝ミクロソーム中における CYP 分子種の発現量,ならびに CYP 分子種によって代謝される薬物相対比を意識した実験計画が有益です.ヒト CYP 発現系と特異基質を組み合わせた阻害試験など,薬物―サプリメント間の相互作用に関する検討は未だ乏しいのが現状です.相互作用回避のための検討を前向きに捉え,安全性を高める取組みを普及させていくことが肝要です.
原著
  • 佐藤 斉, 千葉 康雅, 藤村 尚子, 近藤 信雄, 駒井 三千夫
    2010 年 7 巻 2 号 p. 75-85
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/15
    ジャーナル フリー
    植物ステロールエステルを含有したローカロリーマヨネーズ (PEM) の LDL コレステロール低下効果と安全性を検討することを目的として、血清コレステロール濃度が高めの健常成人を対象に無作為化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験を実施した。一日あたり 884 mg 植物ステロールエステルを含むマヨネーズ (PEM) または対照として植物ステロールエステルを含まないマヨネーズ (CM) を 12 週間毎日摂取することとした。その結果、血清 LDL コレステロール濃度において、PEM 群は CM 群に比べて、8 週および 12 週目で有意に低値を示した (P < 0.05)。なお、PEM 摂取に関連する副次作用は認められなった。また、PEM の安全性は一日摂取目安量の 3 倍量(植物ステロールエステル含量 2652 mg)4 週間摂取試験においても確認された。以上の結果より、PEMは血清LDLコレステロール濃度を低下し、安全な食品であることが示された。
  • 今西 二郎, 渡邉 映理, 渡邊 聡子, 櫻田 久美, 尾内 善四郎
    2010 年 7 巻 2 号 p. 87-93
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/15
    ジャーナル フリー
    われわれは,アロマセラピー・マッサージのサーカディアンリズムに対する効果を 8 名の高齢者について,オープン比較試験において検討した.すなわち,アロマセラピー・マッサージを行う 1 週間前(第 1 週目),アロマセラピーを行った第 2 週目,アロマセラピー終了後 1 週間の第 3 週目の睡眠障害およびサーカディアンリズムを,アクティグラフを用いて比較検討した.その結果,就床時の睡眠率 (% sleep) および睡眠中の睡眠効率 (sleep efficiency) は,第 1 週および第 3 週と比較して,第 2 週では有意に増加することがわかった.24 時間のサーカディアンリズム周期のパワーピークはアロマセラピー・マッサージ後に有意に増加し,サーカディアンリズム障害が改善されることがわかった.さらに,第 2 週におけるスペクトラムサイクルのピークも第 1 週および第 2 週に比較して 24 時間により近くなっていた.これらの結果は,アロマセラピー・マッサージが高齢者における睡眠障害およびサーカディアンリズム障害を改善することを示唆している.
  • 北島 尚治, 北島 明美, 渡邉 雄介, 鈴木 衞
    原稿種別: 【原  著】
    2010 年 7 巻 2 号 p. 95-102
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/15
    ジャーナル フリー
    メニエール病に対し副作用の少ない治療法としてハーブティー療法 (HTT) を考案した.メニエール病患者 15 名に対し,日本めまい平衡医学学会の治療効果基準に基づき,HTT 開始 6 か月前から,めまい回数記録,純音聴力検査,能力低下および耳鳴の自覚的評価に関するアンケートを毎月行い,HTT 開始以降の 12 か月間と比較した.めまい回数は効果判定基準に基づきめまい係数を算出した.HTT 施行例のうち 10 症例が再発せず良好な経過をみせた.めまい係数では 75%が軽度改善以上を示した.聴力は全例で悪化を認めなかった.能力低下アンケートでは改善傾向を認め,耳鳴アンケートでも悪化を認めなかった.再発 5 例もより少ない投与回数で症状のコントロールが可能であった.HTT は効果が緩やかであるため急性発作期の治療には向かないが,緩解期の再発予防には十分な効果を発揮し,急性期でも他の通常医療薬との併用で効果を高めることが期待された.
  • 齋藤 ゆみ, 羅 越, 笹山 哲, 齋藤 邦明, 豊川 博己
    原稿種別: 【原  著】
    2010 年 7 巻 2 号 p. 103-111
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/15
    ジャーナル フリー
    目的:単色の色彩光による感情状態への刺激効果を明らかにすること.
    方法:スクリーンに投射の好みの単色彩光を介入因子とし,その心理的刺激効果を多面的感情状態および唾液中のストレスホルモン指標を用いて測定した.被験者は 20 名.実験群には好みの単色彩光を,コントロール群にはそれ以外の色彩を 20 分間提示し,各指標を被験者内効果の比較で評価した.
    結果:実験群では色彩刺激後に「非活動的快」が有意に上昇し (p = 0.025) ,「抑うつ」や「倦怠感」が有意に低下した (p = 0.005, p = 0.041).CgA の平均値は 4.54 pmol/ml から一旦上昇し,再び 4.96 pmol/ml と減少に転じた.コントロール群では逆に上昇し,両群の CgA 値の変化パターンには有意差が認められた.(P < 0.001)
    結論:好む色彩光は気分を沈め,倦怠感やうつ状態を緩和して,感情状態をポジティブな方向に変化させることが示唆された.
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