日本エネルギー学会誌
Online ISSN : 1882-6121
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100 巻, 6 号
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目次
論文
  • 藤井 克司, 小池 佳代, 津野 克彦, 和田 智之
    原稿種別: 論文
    2021 年 100 巻 6 号 p. 45-54
    発行日: 2021/06/20
    公開日: 2021/06/30
    ジャーナル フリー

    自然エネルギーを基にした水素貯蔵を伴う小型エネルギー供給システムは自立した運用が可能である。一方,そのシステム規模の推定には自然エネルギーからの入力量やエネルギーの利用量を詳細に評価する必要があり,簡単ではない。ここでは,水素貯蔵を利用したエネルギーシステムに必要な規模の設計指針を,気象データを基に簡単に推定する方法を紹介する。実際のエネルギーシステムの設置には詳細な利用条件を含めた設計が必要となるが,これにより地域性を考慮したシステムの傾向を知ることが可能である。これらの検討から,気象条件の地域差がシステム規模に大きな影響を与えることが分かった。

  • 松岡 拓磨, 野中 寛
    原稿種別: 論文
    2021 年 100 巻 6 号 p. 55-61
    発行日: 2021/06/20
    公開日: 2021/06/30
    ジャーナル フリー

    コーヒー抽出残渣(コーヒー粕)は,未利用バイオマス資源であり,食品廃棄物として大量に廃棄されている。本研究では,天然の成形助剤を用いた湿式押出成形により,オールバイオマスのコーヒー粕成形品を開発することを目的とした。コーヒー粕とヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)を8:2~5:5で混合し,固体重量の70~200%の水を加えて混練したところ,コーヒー粕は流動性を発現した。流動特性には水分量が大きく影響し,固形重量の100%の水の添加で板状,中空状に押出成形することに成功した。HPMC の使用割合が多い方が,押出抵抗性が大きく,成形品の収縮率とヤング率が小さくなる傾向が認められた。これは木粉を成形するときとは異なる傾向であり,コーヒー粕はセルロース含量が低く,油分やタンパク質が多量に含まれることから,成分の違いが特性に影響を与えたものと推測された。生分解性の乏しい熱可塑性樹脂不使用でコーヒー粕を三次元成形できることは画期的であり,食品廃棄物問題と近年深刻化しているプラスチックごみ問題の双方を解決しうるものと期待される。

  • Hiromi YAMAMOTO, YAMAJI Kenji
    原稿種別: Original Paper
    2021 年 100 巻 6 号 p. 62-72
    発行日: 2021/06/20
    公開日: 2021/06/30
    ジャーナル フリー

    気候変動の緩和のために,エネルギー起源の二酸化炭素(CO2)排出量の削減が求められている。しかしながら,エネルギー消費者がCO2排出量を簡明に認識することは困難であり,それがCO2排出量の削減を妨げる要因の一つとなっている。本研究の目的は,CO2排出量の直感的な認識を補助する新指標を開発し,その新指標の応用を示すことである。本研究の主要成果を以下に示す。(1)著者らは炭化水素燃料のCO2排出量と非常に強い相関を示す新しい概念としてCE(carbon-related energy,カーボンエネルギー)を導入する。CEは,燃料中の炭素および水素の組成と発熱量から計算される炭素分の比率と燃料発熱量の積で定義される,エネルギー量である。CEに関連する概念として,HE(hydrogen-related energy),RE(renewable energy),CEレシオなどが定義できる。(2)CEを燃料発熱量により除することで定義されるCEレシオは,CO2排出原単位と強い相関を持つ。CEレシオは0.0から1.0の間の規格化された指標であるため,CO2排出原単位よりも直感的に理解しやすい。(3)著者らはCE関連概念を用いた改良茅の恒等式を定義し,CO2排出量がCE関連概念とGDPにより説明されることを示した。また,エネルギーとCO2排出量は,従来別々の図表で示されていたが, CE関連概念を用いることで同一の図表で表示可能となる。

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