日本エネルギー学会誌
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100 巻, 9 号
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目次
論文
  • 宮澤 明憲, 関口 尚幸, ゴンザレス ファン, 荒木 幹也, 志賀 聖一, 神原 信志
    原稿種別: 論文
    2021 年 100 巻 9 号 p. 162-168
    発行日: 2021/09/20
    公開日: 2021/09/30
    ジャーナル フリー

    本研究では,NH3/H2ならびにNH3/CH4を用いた火花点火機関の性能を実験的に評価した。圧縮比13.7,行程容積412 cm3のディーセルベース単気筒火花点火機関を使用した。NH3,H2,CH4は高圧ボンベから供給され,自動車用ガスインジェクターから吸気マニホールドへ噴射される。燃料と空気は吸気マニホールドで混合されて筒内へ流入する。NH3/CH4混焼の場合,NH3モル分率0 ~0.50の範囲で安定した運転が可能であった。NH3/H2混焼の場合,NH3モル分率0.70~0.90の範囲で安定した運転が可能であった。NH3/CH4混焼,NH3/H2混焼のいずれも,NH3モル分率が増大していくと,正味平均有効圧力ならびに正味熱効率は増大してゆるやかなピークをとり,そののち低下していく。CH4単体燃焼でのNOx排出量は3800 ppm程度であるが,NH3 10%を添加すると一気に増大し5500 ppm程度に達する。NOx排出量はNH3モル分率の増大とともにその還元効果によって減少していく。未燃NH3排出量はNH3モル分率の増大とともに増大していく。この未燃NH3は消炎層から排出されたものと考えられる。

  • 張 慧, 義家 亮, 成瀬 一郎, 植木 保昭
    原稿種別: 論文
    2021 年 100 巻 9 号 p. 169-176
    発行日: 2021/09/20
    公開日: 2021/09/30
    ジャーナル フリー

    本研究ではNi-YSZのアノード極を持つSOFCにタール模擬物質を混合した燃料ガスを供給し,SOFCの劣化挙動を調査した。バイオマスガス化研究において典型的なタール構成物質とされているトルエンを3.1%水蒸気含有水素に添加した。発電特性を考察するため,トルエン添加濃度を0 mg/Nm3から1900 mg/Nm3まで変化させて定電流モードにて約30 時間の発電実験を実施した。また,開放端でのインピーダンス測定を行うことによりSOFC内部抵抗を評価した。トルエン無添加実験ではSOFCは良好な状態及び安定した発電が持続したのに対して,200 mA/cm2の電流を印加すると380 mg/ Nm3の低濃度トルエン添加においても電圧の降下が見られた。さらにトルエン濃度が高くなると電圧降下も大きくなる傾向があった。トルエン濃度1900 mg/Nm3の場合には,電圧降下が深刻する一方でアノード極表面に炭素析出した様子も確認できた。ただし,アノード極構造に重篤なダメージがない限り,発電性能は部分的に回復した。

  • 横濱 克彦, 渡邊 裕章
    原稿種別: 論文
    2021 年 100 巻 9 号 p. 177-185
    発行日: 2021/09/20
    公開日: 2021/09/30
    ジャーナル フリー

    石炭の化学構造に基づく,揮発分の発生挙動把握は,石炭ガス化炉内部の反応挙動を明らかにするために重要である。しかしながら,石炭の13C-NMRデータの評価方法と,Chemical Percolation Devolatilization (CPD)理論に基づく石炭の構造パラメータの関係に着目し,高圧流通管式反応実験装置(高圧DTF)で取得した揮発分の発生挙動と比較した報告は少ない。本研究では,燃料比0.94と1.64の石炭について13C-NMR分析を行い,高圧DTFで取得した温度800~1200℃,滞留時間0.4~0.8 sの揮発分の発生挙動データを基に,石炭の化学構造に対する考察を行った。その結果,橋頭炭素の化学シフトピークをそれぞれ133 ppm,131 ppmに設定することで,CPD理論に基づく計算結果と,高圧DTF実験で取得した揮発分放出量の相関が取れた。炭種による化学シフトピークの違いは,芳香核クラスタを構成する炭素環数の差に起因すると考えられ,化学構造の違いに応じて13C-NMRデータ分析のパラメータも調整する必要があることが分かった。

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