従属栄養性の微細藻類Aurantiochytriumは細胞内部に炭化水素を産生し,他種の藻類と比較して増殖速度が大きい。 Aurantiochytriumの湿潤状態の細胞から炭化水素を抽出する方法を検討するため,高圧ホモジナイザーを用いて細胞を破砕した。 細胞の破砕および抽出条件が細胞の形状,炭化水素の抽出率および炭化水素抽出におけるエネルギー収支に及ぼす影響を評価した。破砕の有無にかかわらず,抽出時間の増加に伴い,炭化水素の抽出率は増加した。また,高圧ホモジナイザーによる破砕処理では,1回目の処理で細胞は断片化され,2回目の処理では細胞の形状のさらなる変化はなかった。40 minの抽出時間では,破砕処理をした試料からの炭化水素の抽出率は未処理の試料からの抽出率と比べ10倍以上高い。その一方で,180 minの抽出時間では,破砕処理をした試料および未処理の試料からの抽出率は同程度であった。これは,長時間n-ヘキサンと接触することでAurantiochytriumの細胞が破砕されたためである。また,破砕した試料を40 min抽出した場合の消費エネルギーは,同程度の抽 出率を得るために未処理の試料を180 min抽出した場合と比べ78%削減可能であった。
難燃焼性石炭の燃焼性改善に向けて,微粉炭および製糖排出ライムケーキ(LC),または製紙排出ペーパースラッジ(PS)を乾燥重量基準で等量かつバインダー無しで加圧造粒した燃焼助剤(CCI:Coal Combustion Improver)を開発した。本CCIによる燃焼性改善効果を確認するため,ベンチスケールの循環流動層燃焼炉を用いて,石炭に対してCCIを10%混焼して検討した。850℃における試験の結果より,石炭とCCIを混焼すると灰中未燃分が減少し,排ガス中SO2濃度が減少し,フライアッシュの性状が改善された。これは,火炉投入時にCCIが加圧造粒前の微粉炭およびLC粒子またはPS粒子,あるいはそれらの複合粒子へに直ちに解離し,燃焼場において相互的に作用したためと考えられた。
難燃焼性石炭の燃焼助剤(Coal Combustion Improver:CCI)として,製糖排出ライムケーキ(LC),または製紙排出ペーパースラッジ(PS)のバイオマス・合成炭酸カルシウムと石炭の配合比が1:1(乾燥ベース)の加圧造粒物を開発し,ベンチスケールの微粉炭燃焼炉(1,450℃)で難燃焼性石炭100に対して燃焼助剤10の混焼試験による燃焼性改善に関する検討を行った。それに供された石炭・CCI混合物(粒径75 µm:80%通過)では,CCIは予め,混合微粉砕過程でバイオマス・石灰,石炭粒子,及び複合粒子等に分離,石炭粒全体に均一・分散した燃焼場で,難燃焼性石炭の燃焼性,大気汚染放出性,フライアッシュの性状等が改善された。灰中溶出重金属の挙動は,CCI混焼における元素の揮発性-凝集性と深く係り,CCI中CaOとの反応で,ヒ素,セレン,ホウ素にも減少効果は見られたが,揮発-非凝集性のフッ素では固定化して大きく減少し,非揮発性の六価クロムは酸化によって増大した。
2012年の固定価格買取制度導入後,他の再生可能エネルギーと比較して太陽光発電施設が急増した。本稿では,そのなかでもメガソーラー事業に焦点をあてて設備の所有実態調査を行った。メガソーラー事業者が設備と同一県内に本社を置く数は4分の1以下であった。また,組織形態は企業が主であり,地方自治体や協同組合,財団法人は少ない。このような企業は,親会社が県外に本社を置くことが多く,業種によって特徴がみられた。本稿では,メガソーラー事業から得られた収益の多くが施設立地地域に残らずに都市部へ流出することで,地域活性化の効果が得られていない現状を明らかにした。