日本エネルギー学会誌
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98 巻, 1 号
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目次
資料
  • 中島 光太, 本藤 祐樹, 伊原 克将, 菊井 順一
    2019 年 98 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 2019/01/20
    公開日: 2019/01/31
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,日常生活の省エネルギー行動において,家庭内のコミュニケーションの影響を明らかにすることである。環境省は,各世帯に対して環境コンサルティングサービスを提供する「うちエコ診断」事業を平成23年度に実施した。本研究では,「うちエコ診断」を受診した613世帯に対し,家庭内のコミュニケーションの状況に関する質問(例:うちエコ診断受診後における省エネルギーのための家電の買い替えに係る家族との相談の有無)を含んだアンケート調査を実施している。そして,統計的手法を用いて,利用可能なデータ(613世帯のうち254世帯)を対象に分析を行っている。分析の結果,買替行動について家族と相談することや,日常的な省エネ行動について世帯員同士で注意し合うことが,うちエコ診断受診後の電力変化量に影響を与える可能性を見い出している。本研究は,家庭内コミュニケーションが日常生活の省エネルギー行動を促進する可能性を示しており,今後,より詳細な分析を行う必要性を指摘している。

  • 村岡 克紀, ワグナー フリードリヒ, 山形 幸彦, 原田 達朗
    2019 年 98 巻 1 号 p. 9-16
    発行日: 2019/01/20
    公開日: 2019/01/31
    ジャーナル フリー

    本稿では,風力と太陽光発電(以降,PV と略記)を電力網に大規模に導入しようとする際に,これら再生可能エネルギー(以降,REと略記)からの電気出力が間歇的であることによって引き起こされる問題を,簡単化したモデルを用いて定量的に予測する。用いた解析は,九州電力の電力負荷,風力およびPVについての最近の15分間隔データを基にしている。その結果,次の結論を得た:(1)REによる年間発生電力量が年間負荷電力量の40%を超えると,余剰電力量と送電網に流れる電力が過大になる;(2)RE出力の間歇性を補うためのバックアップには現在のところ火力発電での対処が必要であるが,それによるCO2排出があってREを増やしても結果的にCO2排出は大幅には減らない;(3)その状況を克服するのに必要な電力貯蔵量は,現在の九州電力の揚水発電容量の数十倍以上が必要である。本検討により予測された問題点を意識して,より現実に近い近似のもとでの詳しい解析が行われることが期待される。

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