日本エネルギー学会誌
Online ISSN : 1882-6121
Print ISSN : 0916-8753
ISSN-L : 0916-8753
99 巻, 7 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
目次
論文
  • 沼田 雅子, 杉山 昌広, 茂木 源人, Wunna Swe, ANBUMOZHI Venkatachalam
    原稿種別: 論文
    2020 年 99 巻 7 号 p. 67-74
    発行日: 2020/07/20
    公開日: 2020/07/31
    ジャーナル フリー

    ミャンマーの電化率は約40%であり,その改善は急務である。エネルギーアクセスの重要性は持続可能な開発目標の目標7 でも述べられている。ミャンマー政府は2030年までに100%の電化達成を計画しているが,この意欲的な目標達成のためには基幹送電網延伸のような集中型の手段と分散型の手段の両方を考慮するべきである。本稿では,電化の手段の中で,分散型のミニグリッドについて着目した。ミャンマーでは他の途上国と同様に,ミニグリッドの電源としてディーゼル発電機が多く使われている。電源について議論する際,コスト競争力は重要な尺度である。著者らは太陽光を電源とするミニグリッドは,旧来のディーゼル電源のミニグリッドと比較して,コスト競争力があるか,という観点から評価を行った。著者らはインタビュー調査とフィールドワークによりミャンマーの価格データを集め,それを基にミニグリッドの均等化発電原価を計算した。結果より,太陽光発電とバッテリーを電源とするミニグリッドは,ディーゼル燃料価格が都市部より高くなる地方部においては,ディーゼル電源のミニグリッドに対してコスト競争力を持つ,ということが分かった。しかしながら,より効率的な運用のためには,商業利用のような日中の電気利用を促進することが必要である。

  • Yuichi MUKAWA, Koshiro YAMAGIWA, Eita SHOJI, Masaki KUBO, Takao TSUKAD ...
    原稿種別: Original Paper
    2020 年 99 巻 7 号 p. 75-81
    発行日: 2020/07/20
    公開日: 2020/07/31
    ジャーナル フリー

    重質油の表面張力とその温度依存性を推算するための新規な方法を構築した。重質油の詳細組成構造解析,すなわち「ペトロリオミクス」に基づいて,常圧残渣油(AR)の減圧蒸留による5つの分画留分および残渣,さらにはAR 自身の表面張力を推算した。この方法では,分画留分および残渣に含まれる化合物の組成と分子構造をフーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴質量分析装置(FTICR MS)によって同定した。そして,各化合物に対して,グループ寄与(GC)法を用いて臨界圧力,臨界温度および沸点を推算した。これらの物性を用いて,対応状態原理に基づき各化合物の表面張力を推算した後,混合則に従い,ARの5つの分画留分および残渣,さらにはAR自身の表面張力を推算した。表面張力およびその温度依存性の推算値と測定値の相対誤差は10%以内であり,本推算法によって重質油の表面張力を高精度に推算することが可能となった。

feedback
Top