日本細菌学雑誌
Online ISSN : 1882-4110
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64 巻, 4 号
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平成21年浅川賞受賞論文
  • ―生菌免疫の作用機序へのアプローチ―
    光山 正雄
    原稿種別: 平成21年浅川賞受賞論文
    2009 年 64 巻 4 号 p. 365-376
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/12/19
    ジャーナル フリー
    リステリア(Listeria monocytogenes)に代表される細胞内寄生性細菌に対する宿主感染防御免疫は生菌免疫でしか成立せず,死菌免疫では無効であるが,その理由は不明であった。この素朴な疑問を何とか解明したいと思いながらマウスを用いた感染免疫の研究を続け,リステリアの産生する主要な病原因子であるリステリオリシンO(LLO)タンパクのN末端をマクロファージ内で自然免疫機構が認識し,各種サイトカインの発現誘導が起こるとともに,カスパーゼ1の活性化が誘導されることでIL-18が成熟分泌され,NK細胞依存的なγインターフェロンが免疫初期に産生されることによってエフェクターTh1細胞の分化誘導が起こることを見い出した。細菌のタンパク毒素が宿主サイトカイン誘導に必須の働きをすること,そのことで生菌免疫の有効性が説明できることは新たな概念であり,その発見の背景,粗精製タンパクを用いた実験成績,リコンビナントタンパク標品による証明,LLO遺伝子の組換え変異株による解析など,筆者の研究の歴史を追ってまとめてみた。
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