老年歯科医学
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最新号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
総説
  • 菅野 亜紀
    2023 年 38 巻 3 号 p. 68-71
    発行日: 2023/12/31
    公開日: 2024/01/25
    ジャーナル フリー
  • 箕岡 真子
    2023 年 38 巻 3 号 p. 72-76
    発行日: 2023/12/31
    公開日: 2024/01/25
    ジャーナル フリー
  • 清水 俊夫
    2023 年 38 巻 3 号 p. 77-82
    発行日: 2023/12/31
    公開日: 2024/01/25
    ジャーナル フリー

     筋萎縮性側索硬化症(ALS),パーキンソン病(PD),多系統萎縮症など,多くの神経変性疾患において体重減少をはじめとした栄養障害をきたすことが知られている。その原因として,嚥下障害によるエネルギー摂取不足,運動症状(筋萎縮,筋強剛,不随意運動など)によるエネルギー消費量の変化のほかに,疾患に特異的な原因があることが想定される。ALSにおいては体重減少が生命予後予測因子であることが確立されている。その病態生理として,疾患特異的な基礎代謝の亢進,脂質代謝へのシフト,視床下部病変の影響などが相次いで報告されており,また高脂肪高カロリー食治療や体重維持が生命予後を改善させるという報告もされている。ALSにおいては高脂肪高カロリー食療法が新たな疾患修飾治療になりうるかもしれない。

     PDも体重減少をきたす疾患であるが,その原因は,嗅覚異常,嚥下・咀嚼障害によるエネルギー摂取障害,消化管運動機能障害,うつ症状,内分泌異常,中枢性食思不振などのほか,振戦や筋強剛によるエネルギー代謝亢進が想定される。ALSと異なるのは,(1)薬物療法により体重が増加すること,(2)体重は寡動と振戦・筋強剛のバランスに影響されること,(3)不顕性誤嚥が多いこと,である。また進行期には難治性の著しい体重減少をきたす。低栄養は全身状態の悪化につながるが,胃瘻造設の基準や有効な栄養療法はいまだに確立されていない。認知症併発期の胃瘻造設については倫理的問題を含めた指針が日本にはなく,今後の課題である。

  • 金澤 学, 黒嶋 伸一郎
    2023 年 38 巻 3 号 p. 83
    発行日: 2023/12/31
    公開日: 2024/01/25
    ジャーナル フリー
  • 黒嶋 伸一郎
    2023 年 38 巻 3 号 p. 84-90
    発行日: 2023/12/31
    公開日: 2024/01/25
    ジャーナル フリー

     ビスホスホネート製剤と抗RANKL抗体製剤であるデノスマブ使用患者の一部に引き起こされる薬剤関連顎骨壊死(Medication-related osteonecrosis of the jaw:MRONJ)は,初めての報告から20年が経過した現在でも,病態形成機構が不明であることに起因して,確定的な予防法や治療法が存在しない。また,いったん発症すると,場合によってはQoLや口腔関連QoLを低下させて社会生活に影響を与える難治性の硬軟組織疾患である。

     著者らの研究グループでは,病態形成機構解明と治療法・予防法開発のために,MRONJに関する基礎研究や臨床研究を展開している。本論文では,多職種の皆さんに知っておいていただきたいMRONJの臨床的特徴を解説するとともに,私たちの基礎研究や臨床研究から明らかになっている(きた)MRONJの病態やその形成機構に加え,治療法開発にかかわる科学的情報をお伝えする。

  • 向坊 太郎, 正木 千尋, 近藤 祐介, 宗政 翔, 野代 知孝, 細川 隆司
    2023 年 38 巻 3 号 p. 91-94
    発行日: 2023/12/31
    公開日: 2024/01/25
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臨床報告
  • 上杉 雄大, 伊原 良明, 野末 真司, 百瀬 智彦
    2023 年 38 巻 3 号 p. 95-101
    発行日: 2023/12/31
    公開日: 2024/01/25
    ジャーナル フリー

     緒言:今回,われわれは新型コロナウイルス感染症(以下,COVID-19)による人工呼吸管理後の摂食嚥下障害により全量経管栄養管理となった患者に対し,多職種が連携して嚥下訓練を実施したことで全量経口栄養摂取可能となった症例を経験したので報告する。

     症例:患者:66 歳,男性。現病歴:2021年1月にCOVID-19陽性となり,入院後,気管挿管管理となった。抜管後に耳鼻科医による嚥下評価にて,経口摂取開始は困難との診断の下,経皮内視鏡的胃瘻造設術が実施された。その後,とろみの濃さと食形態の調整により経口摂取可能と考えられたため,経口摂取を再開した。自宅退院後,担当ケアマネジャーから歯科訪問診療の依頼があり,歯科訪問診療を開始した。

     経過:多職種が連携し,誤嚥性肺炎予防,声帯運動の改善,舌骨上筋群の筋力向上,歩行機能の改善のため,口腔衛生指導,呼吸・発声訓練,Chin tuck against resis­tance,歩行訓練を継続的に指導した。嚥下内視鏡検査にて嚥下状態を確認しながら,段階的に食形態の調整を続け,食形態は常食まで改善した。

     考察:本症例では抜管後に生じる嚥下障害が認められたが,COVID-19感染拡大防止のためリハビリテーション開始が遅延し,さらに嚥下機能が低下したことが疑われた。多職種が連携し,複合的な嚥下訓練を継続したことから,常食の摂取が可能となったと考える。

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