情報知識学会誌
Online ISSN : 1881-7661
Print ISSN : 0917-1436
ISSN-L : 0917-1436
18 巻, 3 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
巻頭言
論文
  • 浅野 俊幸, 下羅 弘樹, 外間 正浩, 天見 正和, 佐土原 聡
    2008 年 18 巻 3 号 p. 220-239
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/15
    ジャーナル フリー
    災害時には,あらゆる災害対応情報がやり取りされている.しかし,災害対応実施機関は各種情報システムを整備しているが,他機関との情報共有を考慮したデータ構造になっていないために円滑な情報共有が行なわれていない.本研究では,災害対応の一例として水害に焦点を当て,水害対応に関する業務と情報を分析し,情報項目の体系化を試みた.さらに,XMLを用い,他機関と災害対応情報を共有することを目的としたデータ構造(XMLスキーマ)の設計方針・手法を提案し,スキーマを構築した.提案スキーマは,共通情報をまとめた基本スキーマと個別情報をまとめた応用スキーマで構築されているところが特徴である.また,水害対応経験がある新潟県見附市で行なった実証実験で使用し検証された.実証実験は,2004年新潟福島豪雨災害の事象を踏まえたシナリオに合わせ,参加7機関・協力11機関の参加のもと13種類のXMLスキーマに沿ったデータを複数の情報システムとネットワーク越しに情報共有を試みた.XMLスキーマの評価は,見附市職員へのアンケート調査で災害対応業務の実効性の側面から回答してもらい,情報共有が円滑に出来ており有用であるとの評価を頂いた.また,XMLスキーマを実際に情報システムで扱った参加機関の担当者に対してもアンケート調査し,課題はあるものの,必要な情報を共有できたとの評価を頂いた.
  • 山地 一禎, 片岡 俊幸, 行木 孝夫, 曽根原 登
    2008 年 18 巻 3 号 p. 240-248
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/15
    ジャーナル フリー
    数学や物理学などの分野では,プレプリントの公開により研究成果の先取権が確保される.現在では,印刷物の出版と共に,電子ファイルをインターネット上で公開する方式が主流となっている.今後,電子ファイルのみの公開となった場合,プレプリントの存在と非改ざん性が担保される内容証明が重要になる.本研究では,ボーンディジタル時代におけるこうした問題に対して,電子署名とタイムスタンプから構成される長期署名を適用し,プレプリントをよりセキュアに流通できる学術コンテンツの内容証明システムを開発した.また,長期署名付きコンテンツを入手したユーザが手軽に内容検証をできるように,長期署名検証サーバの構築を行った.
展望
  • 鎗目 雅
    2008 年 18 巻 3 号 p. 249-259
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/15
    ジャーナル フリー
    科学技術研究におけるデータ・情報集約度が急激に上昇している中で、大量に蓄積された多様な情報・データを様々な背景・役割を持つ専門家や関係者間のネットワークを通じた共有を可能とする、公共財的な知的基盤としての知識・情報コモンズを構築し、オープンなアクセスを保証することで共創的に活用していくことが必要とされている。日本と米国の専門家による国際ワークショップを通じて、従来の分野の枠組みを超えた学融合的な観点からの新たな学術的アプローチの意義付け、および方法論を模索すると同時に、公共的・長期的観点から、知識・情報コモンズを維持・管理・活用し、地球レベルでの持続可能な社会へ向けたイノベーションを創出していくためのインセンティブを考慮した制度設計を議論した。一方で、様々な分野において、科学技術データ・情報の生産・流通・利用に関する技術的、経済的、法律・制度的な課題が顕在化しつつあることが明らかとなった。
論説
解説
  • 内田 努
    2008 年 18 巻 3 号 p. 280-285
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/15
    ジャーナル フリー
    2001年より,CODATA のTask group として,ガスハイドレートに関する国際データベースの構築プロジェクトが行なわれている.このプロジェクトは,日本でも現在非在来型天然ガス資源のひとつとして注目を集めているガスハイドレートに関して,世界中に散在するデータベースをひとつのポータル上でリンクさせ,仮想的な国際データベースを構築するものである.本稿では,これまでのTask group の活動を紹介し,国際データベースのスキームをまとめた.同時に,国内のガスハイドレート研究者を中心に行ったアンケート調査の結果をまとめ,データベース構築に対する意識について報告する.この報告をもとに,現在の日本国内におけるガスハイドレート研究の現状を紹介するとともに,データベース構築に対する問題点を考察した.
feedback
Top