情報知識学会誌
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30 巻, 4 号
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
  • 2021 年 30 巻 4 号 p. 417-418
    発行日: 2021/01/09
    公開日: 2021/02/12
    ジャーナル フリー
  • 菊池 信彦
    2021 年 30 巻 4 号 p. 419-426
    発行日: 2021/01/09
    公開日: 2021/02/12
    ジャーナル フリー

     新型コロナウイルス感染症(以下,COVID-19)の流行で社会は大きく変わりつつある.アフターコロナの学術研究分野はどのように変わるのか,そしてオープンサイエンスはどのような変化を遂げるのか.筆者に課せられた課題は,歴史研究者としての立場から,この問題に関わるような実践活動を報告することである.そこで本稿では,コロナ禍における歴史学にとってのオープンサイエンスに関わるような話題について,筆者自身が関わった2つの事例を論じる.1つ目は,筆者が中心に進めているデジタルアーカイブプロジェクト「コロナアーカイブ@関西大学」について.2つ目は,歴史学関係論文のオープンアクセス化に関する日本歴史学協会若手研究者問題特別委員会の対応についてである.これらを通じて,コロナ禍が,歴史学にとってのオープンサイエンスに対して与えた影響について,アフターコロナという未来に示しておきたい.

  • 川邊 咲子
    2021 年 30 巻 4 号 p. 427-431
    発行日: 2021/01/09
    公開日: 2021/02/12
    ジャーナル フリー

     本発表は、コロナ禍における歴史文化資料の保存・活用についての情報・意見交換の場として開催した二つのイベントにおいて展開された議論を元に、歴史文化資料の保存と活用の新しいスタイルを見出すための方向性を提示することを目的としている。コロナ禍においては、資料調査や保存活動のために現地に行くことが制限されてきた。そうした中では、感染予防対策を伴う資料調査活動の方法や、地域や施設への訪問・滞在を伴わない代替的資料調査の方法といった、活動を継続して行っていくための新しいスタイルの創出と実践が必要となっている。また、資料のデジタル化やそのオンラインでの公開がより求められている現状にあり、デジタルデータと現物資料それぞれの価値と意義について検討し直すことが求められる。

  • 大西 亘
    2021 年 30 巻 4 号 p. 432-438
    発行日: 2021/01/09
    公開日: 2021/02/12
    ジャーナル フリー

     自然史資料の体系的な収集・整理を目指す自然史系博物館は,自然界の事象を記載することを目的とした自然史系科学の活動の中心として,過去数世紀にわたり活動が継続されてきた.近年,自然史系博物館に集積された資料の画像や属性情報について,データベース化とインターネット公開を通じた地球規模での共有と利用が進みつつある.この変革は,新たな共有手法の導入に留まらず,学問への参入障壁を下げ,研究人口の広がりを促す点で学問分野の強化にも繋がりうるものと考えられる.本発表では,生物多様性情報を中心とした自然史系学術情報流通の現状と展望について考察する.

  • 岡本 裕子
    2021 年 30 巻 4 号 p. 439-446
    発行日: 2021/01/09
    公開日: 2021/02/12
    ジャーナル フリー

     本発表では、2020 年10 月に開催した大学共同利用機関シンポジウムを事例としてオンラインイベントのあり方について考察する。本シンポジウムは、大学等の共同研究・共同利用を支える全国の大学共同利用機関が一堂に会し、例年、アキバ・スクエア、科学未来館等のリアル会場で行われてきた。一般市民に向けて研究成果や共同利用事業の展示並びに研究トークを主なプログラムとして開催してきたが、本年2020 年は、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、オンライン開催とすることが決定された。約2カ月の期間でオンラインイベントを設計するためのポイントを振り返り、今後のハイブリット型イベントを検討する一助にしたい。

  • 長塚 隆
    2021 年 30 巻 4 号 p. 447-454
    発行日: 2021/01/09
    公開日: 2021/02/12
    ジャーナル フリー

    近年,地域・自治体資料のデジタル化が進展しているが,どの程度デジタル化・オープン化されているかの把握は難しい.神奈川県の全市を対象に,国立国会図書館のデジタルコレクションやインターネット資料収集保存事業,および各市ホームページや図書館蔵書検索システムを使用してメタデータおよびデジタル資料を調査し,デジタル化とオープン化の進展を推測し,国立国会図書館と公共図書館との連携のあり方など今後の課題について考察した.

  • 足立 香純, 杉山 岳弘
    2021 年 30 巻 4 号 p. 455-458
    発行日: 2021/01/09
    公開日: 2021/02/12
    ジャーナル フリー

     デジタルサイネージの視聴の仕方は様々であり,サイネージの訴求効果を上げるためには,様々な見方に対応したデジタルサイネージのデザインが好ましいと考えられる.本研究では斜めからディスプレイを見た際に,視認しやすいフォントの特徴について実験方法による影響に対する実験,視認性に関する実験,フォントに関する実験から明らかにする.本稿では視認性に関する実験までの結果について述べる.視認性に関する実験では,そもそも視線の角度や文字種によって視認性に違いが出るのかという検証を行った.視線の角度については,水平の観視角度の変化が視認性に影響を与えるが,垂直の観視角度の変化は視認性に影響を与えない.文字種については,ひらがな,カタカナと漢字には視認性に差があると言える.また,ひらがなとカタカナについては同じ文字種でも視認しづらい文字がある.濁点・半濁点がついている文字は他と比べて視認性が低くなる.

  • 堀井 洋, 原嶋 亮輔, 堀井 美里, 小川 歩美
    2021 年 30 巻 4 号 p. 459-462
    発行日: 2021/01/09
    公開日: 2021/02/12
    ジャーナル フリー

     コロナウィルスの大規模流行により,図書館や博物館などの公共空間においても人が一定の間隔を保つ”ソーシャルディスタンシング”を維持することが求められている.”ソーシャルディスタンシング”は感染防止の観点から必要な措置であるが,その一方で,施設内の椅子や利用スペースに利用禁止を促す表示が溢れ,人々を広く受け入れることが役割である公共空間に相応しくない状況が拡がりつつあることも事実である.発表者らは,学芸員や研究者などの学術関係者とデザイナーが連携して,コロナ禍における公共空間における文化活動の再生を目指す「キテンプロジェクト」を実施している.本発表では,「キテンプロジェクト」を紹介するとともに,コロナ禍における公共空間と学術関係者・デザイナーとの関わりについて報告する.

  • 小川 歩美, 堀井 美里, 堀井 洋, 川邊 咲子, 後藤 真, 高田 良宏
    2021 年 30 巻 4 号 p. 463-466
    発行日: 2021/01/09
    公開日: 2021/02/12
    ジャーナル フリー

     コロナ禍においては,研究者が集まる学会やシンポジウムなどの学術イベントは現地開催が困難な状況にあり,オンライン上での試みが多く行われている.オンラインの学術イベントについては,感染リスクが低い状況で参加できること,さらにこれまで空間的・時間的制約により参加が困難であった参加者との議論が可能になったことが利点として挙げられる.一方で,直接交流し,体験することで行っていた課題・現状の共有や議論をどう行うかが課題となっている.

     発表者らは,地域の学術資料の保存・継承・利活用について多面的かつ学際的な議論をする「学術野営2020 in 奥州市」を2020年7月10日(土)・11日(日)にオンラインで開催した.本発表では,学術野営2020における「オンライン巡見」を中心に,遠隔で参加者同士が課題や現状を共有し議論を行う学術イベントの実践に関する考察を行う.

  • 三浦 崇寛, 浅谷 公威, 坂田 一郎
    2021 年 30 巻 4 号 p. 467-470
    発行日: 2021/01/09
    公開日: 2021/02/12
    ジャーナル フリー

     オープンサイエンスにおける知識伝播と知的交流において重要な役割を果たすのが研究者の組織移動である。研究者の移動が創造性に与える影響は近年多く研究されており、国内国外問わず移動が研究者に対して正の影響を与えていることが明らかとなっている一方、移動のどのような側面が研究者の創造性に寄与しているかは未解明である。本発表では、移動が活発な計算科学分野において近年注目されている研究者の同時所属に着目し、同時的な移動を捉える書誌情報分析を行う手法を提案する。従来の研究対象であった研究者が完全に組織を変える場合の移動と比較を行い,研究者を同時移動的に獲得することが組織戦略としてどのように機能するかを考察することで,オープンサイエンスにおいて組織移動がもたらす影響を議論する。

  • 池谷 瑠絵
    2021 年 30 巻 4 号 p. 471-476
    発行日: 2021/01/09
    公開日: 2021/02/12
    ジャーナル フリー

     学術広報は,本質的に社会との関係構築を図る活動であることから,目的やミッションにおいてオープンサイエンスとの共通性が見出し得る.しかしその背景にある技術に注目すると,20世紀のマスメディアの隆盛と共に発達してきた,学術広報を含む広報一般の手法と,今日の発達したICTを背景とするオープンサイエンスには大きな違いがある.ところが新型コロナウイルスの感染拡大によって,学術広報の各種イベントがオンライン化され,印刷物がウェブ配布,動画などに切り替わり,広報活動の大きな3つの領域であるウェブ,印刷物,イベントの多くがウェブ上に集約され,新しいコミュニケーション・ツールの利用も進められるという急速な変化が起こった.この現況を調査し,本研究に先だって行った学術広報の現況調査から抽出した広報の機能に,どのような変化が起こっているかを検証し,今後のオープンサイエンス推進と広報における残る課題について展望する.

  • 堀井 美里, 小川 歩美, 寺尾 承子, 堀井 洋, 高橋 和孝, 野坂 晃平, 川邊 咲子, 後藤 真
    2021 年 30 巻 4 号 p. 477-480
    発行日: 2021/01/09
    公開日: 2021/02/12
    ジャーナル フリー

     本発表では,発表者らが2020年6〜8月に岩手県奥州市において実施した,歴史・民具資料の調査を事例として,コロナ禍における地域資料調査の方法について分析し,検証を行う.その上で,特に歴史学分野を中心とした,従来の学術資料調査方法について考察し,課題を抽出する.本考察の結果,今後の学術資料調査における情報共有・公開の重要性が指摘できる.

  • 西岡 千文
    2021 年 30 巻 4 号 p. 481-484
    発行日: 2021/01/09
    公開日: 2021/02/12
    ジャーナル フリー

     オープンサイエンスの潮流の中,研究データの公開が推進されている.本稿では,日本の大学における研究データの公開状況について分析を行う.分析ではDataCite の全レコードをデータセットとして使用した.全レコードのうち,日本の大学に所属している著者が含まれているレコードは39,128 件あることがわかった.このうち半数以上が,高エネルギー物理学のリポジトリであるHEPData に登録されたレコードであった.分析より,カウント方法によって大きく研究データ公開件数の結果が異なること,近年研究データ公開件数は増加傾向にあること等が明らかとなった.

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