知能と情報
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24 巻, 2 号
選択された号の論文の21件中1~21を表示しています
目次
巻頭言
解説
報告
書評
用語解説
会告
論文概要
学会から
編集後記
一般論文
原著論文
  • 篠崎 眞太郎, 中島 克人
    2012 年 24 巻 2 号 p. 637-647
    発行日: 2012/04/15
    公開日: 2012/04/26
    ジャーナル フリー
    動的背景推定・差分法は,変動の激しい画像において物体追跡のための大変有効な方法とされている.動的背景推定は,動画像中の時系列方向のフレームの同一座標において動的に逐次背景画素を推定する.本稿では,照度変動の影響を受けにくい色空間と,この空間上の色距離に基づく類似度を独自に定義し,高い平均類似度を持つ画素を背景と推定する比較的簡便で高速な動的背景推定法および背景差分法を提案する.提案手法では平均類似度の計算過程で得られる統計値を活用し,背景差分時に必要な閾値を自動決定する仕組みも示す.実験では公開されている背景差分用のデータセットを用い,5つの他手法と前景抽出の精度(Precision-Recall,Best F-measure)と処理時間の比較をおこなった.提案手法では,前処理としてメディアンフィルタを用いた方法と,縮小処理を行った後にメディアンフィルタを用いる方法で実験をおこなった.その結果,前者では,Best F-measureが他手法と同等かあるいはそれ以上であり,また処理速度はVGAサイズの画像に対して他手法より大幅に高速な24 fpsであることを確認した.また,後者では,Best F-measure が他手法に比べおよそ 10 ポイント前後高く,また処理速度は 100 fps となることから,実時間物体追跡などに適用可能である事を示した.
  • 薬師寺 翔, 古川 徹生
    2012 年 24 巻 2 号 p. 648-659
    発行日: 2012/04/15
    公開日: 2012/04/26
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は連続的に変形する形状集合を表現する「形状表現マップ」を得るアルゴリズムの開発である.形状表現マップは与えられた形状集合から成る非線形部分空間であり,このマップ上では形状の連続的な変形が自然に表現される.形状表現マップを得ることにより,形状変化を引き起こす潜在的な説明変数を発見し,また分類や認識といった処理がより本質的な空間で実行されることが期待できる.我々はこの形状表現マップの推定を高階化自己組織化マップ(SOMn)を用いることで実現した.計算機実験では,異なるアフィン変換を受けた形状集合の分類と,移動ロボットが観測する地平線形状から環境地図を獲得する課題において本手法の性能を示す.
  • 大木 基至, 原田 利宣, 乾口 雅弘
    2012 年 24 巻 2 号 p. 660-670
    発行日: 2012/04/15
    公開日: 2012/04/26
    ジャーナル フリー
    近年,ラフ集合理論の実問題への応用が盛んである.しかし,ラフ集合理論によって抽出される決定ルール数が膨大となる場合,その中から有用な決定ルールを発見することは容易ではなく,実用の障害となりうる.本研究では,抽出された決定ルールの中から,効率的に有用な決定ルールの発見を支援する決定ルール可視化システムの開発を目的とする.基本命題と結論間,基本命題間の共起率の算出や,数量化理論第IV類による分析を用いて,決定ルールを3次元座標系に可視化するシステムが開発される.評価実験の結果,膨大な決定ルールの中から有用な決定ルールを発見することが可能となることが確認される.また,評価実験において被験者から指摘された問題点を克服する種々の支援機能が追加実装される.
  • 山根 宏彰, 萩原 将文
    2012 年 24 巻 2 号 p. 671-679
    発行日: 2012/04/15
    公開日: 2012/04/26
    ジャーナル フリー
    本論文では,ことわざすかしの自動生成システムを提案する.提案システムでは,身近であることわざを「すかし」と呼ばれるオチに利用することにより,面白い文章を生成する.すなわち,ことわざの文末を変更して,ユーザの予想を裏切ることで笑いを生む短文を出力する.提案システムには以下の3つの特徴がある.まず第1に,前述のような笑いに関する新しいフレームワークである「すかし」の利用である.第2に,2,550億単語から構築された膨大な情報量を有するGoogle N-gramを活用した大量で多様な候補の生成である.第3に,これまでの駄洒落研究などにおいて扱われてきた,音の長さ,単語間音韻類似度,単語間意味類似度に加えて,さらにイメージのし易さ,具象度の考慮である.これによりファジィルールの構築と面白さの自動評価を行い,優れた候補の選択が可能となった.評価実験により,人手作成に近いレベルで意外性が高く面白いすかしの生成が可能であることなどが確認された.
  • 大崎 美穂
    2012 年 24 巻 2 号 p. 680-690
    発行日: 2012/04/15
    公開日: 2012/04/26
    ジャーナル フリー
    インタラクティブECフィッティングは,補聴器の信号処理パラメータをユーザの好みに合うように設定できる有効な手法である.しかし,ユーザの評価揺らぎとECの進化演算により,不快音が生成されることがある.また,ユーザの繰り返し評価を要するためフィッティングに時間がかかる.そこで本研究では,ユーザから事前に得た音量の好みに基づいて設定候補を自動的に評価し,望ましい設定候補のみをユーザに提示する改善手法を提案する.我々は改善手法を実装し,ユーザが評価しない設定候補の最適な個数,および,改善手法の有効性を調べるシミュレーション実験を行った.インタラクティブECフィッティングでは一般に,ユーザが評価する設定候補の個数を20に設定するが,この20に対して,我々の実験ではユーザが評価しない設定候補の個数を10にすると改善手法の性能が最も高かった.この個数のもと,改善手法は評価値の分散を有意に低下させ,外れ値である不快音の除去効果が示唆された.また,改善手法はEC収束を有意に高速化し,フィッティング時間の短縮も示された.今後は被験者を用いた実用的な実験を行い,改善手法がユーザの負担を軽減するかを調べたい.
ショートノート
  • 野津 亮, 小森 祐希, 本多 克宏, 市橋 秀友, 岩元 優希
    2012 年 24 巻 2 号 p. 691-696
    発行日: 2012/04/15
    公開日: 2012/04/26
    ジャーナル フリー
    本論文では,エージェントが使用するメモリを削減するための鎖型状態行動学習を提案する.実環境においては,細やかで精密な学習と状態数と行動数にさくメモリ数,学習時間との間にトレードオフの関係が存在する.この問題を解決するために,強化学習の学習プロセスの中で,推定価値を “良い” と “良くない” の2パターンと大まかにとらえ, “良い” 状態行動対を一直線状に並べる方法へと変更する.さらに,列の順番それ自体を優先順位として与える.いくつかの単純なシミュレーションを行い,この手法の影響を観察した.それらのシミュレーション結果から,低メモリ環境での提案手法が多量のメモリを必要とする従来法と同等な学習能力を確認することができた.
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