ポリビニルアルコールをジメチルスルホキシド(DMSO)と水の混合溶媒に溶解させ,その熱溶液を室温まで冷却すると,ポリマーの微結晶を架橋点とする熱可逆性ゲルが生成する.本研究では,ゲル化溶媒である DMSO と水の混合溶媒組成を変化させたときに得られたゲルの架橋長 ζ,高分子/溶媒間の相互作用パラメーター χ
12,ヤング率
E を求め,それらの相関性について検討を行った.架橋長 ζ は田中-Stockmayer の理論式から,高分子/溶媒間相互作用パラメーター χ
12 は膨潤度測定から,ヤング率
E は引張り試験の応力-ひずみ曲線から,それぞれ評価した.その結果,ζ, χ
12,
E の値はいずれも,DMSO の割合(
XDMSO)が増えると徐々に増大し,
XDMSO=60 vol%近傍で最大値を示した後,
XDMSO をさらに高くすると逆に減少するという傾向を示した.以上の結果は,力学強度が優れた PVA ゲルを作製するためには,架橋長 ζ と高分子/溶媒間の相互作用パラメーター χ
12 ができるだけ大きくなるようなゲル化溶媒を選択する必要があることを示している.
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