ペニシリウム属におけるオクラトキシン産生菌種については、Walbeekが最初に
ペニシリウム・ビリディカータムであると報告し、その後Cieglerがそれを追認したため混乱を生じた.しかしながら、その後PittやFrisvadが、増殖速度やマイコトキシン産生のパターンの違いから、
ペニシリウム・ビリディカータムと
ペニシリウム・ベルコーザムは異なり、オクラトキシンを産生する
ペニシリウムは、
ペニシリウム・ベルコーザムのみであるとした.しかし、最近、Larsenが穀類からしか分離されないものと、チーズや肉類からしか分離されないものを区別し、後者を別種、
ペニシリウム・ノルディカムを提唱した.
ペニシリウム・ベルコーザムの増殖温度域は0-31℃、最適は20℃付近で、オクラトキシン産生はほぼ増殖温度域で認めらるが、最適は20℃付近である.増殖への最低水分活性値は0.86.オクラトキシン産生は基質や分離株によって影響を受ける.温度勾配は水分移動を引き起こし、水分量が上昇すると、カビの増殖、次いでマイコトキシン産生も可能となる.土壌、穀粒、あるいは製品の残渣は
ペニシリウム・ベルコーザムの汚染源となりうるため、穀物や食品の乾燥や貯蔵施設は清潔に保たなければならない.
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