西日本皮膚科
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69 巻, 2 号
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図説
症例
  • 加賀谷 早織, 角田 孝彦
    2007 年 69 巻 2 号 p. 123-125
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/05/17
    ジャーナル 認証あり
    37歳,女性。足白癬に対して,ケトコナゾールクリームを処方されたことがあった。数年後,再び足白癬に対して,同クリームを外用したところ,病変部周囲に浸潤性紅斑が出現した。パッチテストの結果,ケトコナゾールクリーム(as is),基剤成分で陽性を示し,さらに,基剤成分中の亜硫酸ナトリウムに陽性であった。さらに構造の類似した,亜硫酸水素ナトリウム,ピロ亜硫酸ナトリウムについてもパッチテストを行い,いずれも陽性であり,交叉感作が考えられた。
  • 山岡 俊文, 芦田 美輪, 清水 和宏, 佐藤 伸一, 陳 俊全, 大島 孝一
    2007 年 69 巻 2 号 p. 126-130
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/05/17
    ジャーナル 認証あり
    80歳の女性。3ヵ月前から両下肢に浸潤を触れる紅斑が持続した。皮膚生検で結節性紅斑と診断したがピペラシリンナトリウム点滴,ロキソプロフェンナトリウム内服を行ったが軽快しなかった。原因となる疾患の存在を考え全身検索したところ,直腸MALTリンパ腫,Helicobacter pylori(H. pylori)感染が明らかになった。現在までに結節性紅斑と直腸MALT リンパ腫,H. pylori感染との関連は報告されていない。直腸MALTリンパ腫に確立された治療法はないが,H. pylori除菌により縮小することが知られている。今回H. pylori除菌により直腸MALTリンパ腫が縮小し,両下肢の結節性紅斑の再燃が抑制された。自験例では結節性紅斑の原因として,直腸MALTリンパ腫,H. pylori感染のいずれが深く関与しているかは不明であるものの,難治性結節性紅斑に対して内臓悪性腫瘍の検索は必須であり,またH. pylori感染の有無の検索も重要であると考えられた。
  • 鈴木 亜希子, 新谷 洋一, 磯村 巌, 小林 桂子, 森田 明理, 菅野 重, 坂野 章吾, 上田 龍三
    2007 年 69 巻 2 号 p. 131-136
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/05/17
    ジャーナル 認証あり
    37歳の女性。長時間の日光曝露後から結膜の浮腫が出現し,その後眼瞼や顔全体に浮腫が拡大した。約1ヵ月後より発熱,下痢も生じるようになったため当科を受診した。初診時眼瞼を中心とする顔面全体と眼球結膜に著明な浮腫があり,紅斑は頬部にわずかに認められた。その後数日間で浮腫はさらに増強し,顔面の紅斑は徐々に拡大し,蝶形紅斑となった。皮膚病理所見では液状変性と軽度のリンパ球浸潤を認めた。検査所見では白血球,血小板の減少,低補体血症を認め,抗核抗体および抗DNA抗体が陽性であった。光線過敏,口腔内潰瘍があり,精査にて漿膜炎を認めた。以上からSLE と診断しプレドニゾロン25mg/日で治療を開始,50mg/日に増量したところ症状および検査所見の改善を認めた。またヒトパルボウイルスB19 IgM抗体が一時陽性であったがその後陰転化し,ヒトパルボウイルスB19感染症の併発が考えられた。
  • 井上 義彦, 阿部 俊文, 荒川 正博, 石井 文人, 辛島 正志, 橋本 隆
    2007 年 69 巻 2 号 p. 137-140
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/05/17
    ジャーナル 認証あり
    80歳,男性。初診の約3ヵ月前より全身にそう痒を伴う紅斑が出現した。次第に拡大し,水疱を伴ってきたため受診した。顔面を含む略全身に大小様々の浮腫性紅斑が多発し,紅斑局面上に比較的小さな緊満性水疱を認め,一部は環状に配列していた。病理組織学的に表皮下水疱を認め,水疱内と真皮上層に好酸球やリンパ球を主体とする炎症性細胞浸潤を認めた。蛍光抗体直接法では,表皮真皮境界部にIgGとC3の線状沈着を認め,1M食塩水剥離皮膚を基質に用いた蛍光抗体間接法では,真皮側にIgGの反応を認めた。EDTA剥離真皮抽出液を用いた免疫ブロット法では,患者血清は200kD蛋白に反応した。以上より抗p200類天疱瘡と診断した。治療としてプレドニゾロン内服(30mg/日)にて皮疹は消退した。
  • 小田 佐智子, 籏持 淳, 濱崎 洋一郎, 山崎 雙次, 安濃 隆, 阿久津 行永
    2007 年 69 巻 2 号 p. 141-144
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/05/17
    ジャーナル 認証あり
    54歳,女性。4年前より両眼ぶどう膜炎,両側肺門リンパ節腫脹,血清ACE値上昇を認め,サルコイドーシスと診断されていた。3年前より両膝部に紅斑局面,両下腿に浸潤を触れる爪甲大の淡紅色斑が多発。3ヵ月前より左下腿に皮下結節が出現,組織所見はそれぞれ,真皮上層から中層,真皮中層から下層,脂肪織下層の類上皮細胞肉芽腫であり,局面型皮膚サルコイド,サルコイドーシスの結節性紅斑様皮疹,皮下型皮膚サルコイドと診断した。皮膚サルコイドの3重複はまれであるので報告するとともに,重複の意義について若干の考察を加えた。
  • 大西 明美, 中島 圭子, 山田 七子, 山元 修
    2007 年 69 巻 2 号 p. 145-149
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/05/17
    ジャーナル 認証あり
    無汗症はまれな疾患で種々の原因で起こると言われている。エクリン汗腺や交感神経の異常による先天性無汗症と後天性無汗症に大別される。後天性無汗症の中でも原因不明の特発性無汗症は,1)特発性分節型無汗症(idiopathic segmental anhidrosis; ISA),2)若年者に発症しコリン性蕁麻疹を伴い,皮膚病変が無く,無汗以外の自律神経異常を伴わず血清IgE が高値でステロイド薬が著効を示すidiopathic pure sudomotor failure(IPSF),3) 1),2)以外のものに大別される。今回特発性無汗症の無汗部を病理組織,免疫組織染色および電子顕微鏡で観察したので報告する。症例1: 54歳,男性。数年前から躯幹に紅斑を生じ,躯幹・四肢の発汗量が減少した。症例2: 17歳,男性。2005年夏頃より両側前腕の発汗が減少した。症例1,2とも光顕ではエクリン汗腺の周囲にリンパ球浸潤を認めた。電子顕微鏡では症例1の分泌部ではリンパ球侵入の割に細胞変性が目立つため,汗腺細胞の変化が先に起き,リンパ球浸潤が起こったのではないかと考えられた。免疫組織染色では細胞変性が著明な症例1ではgranzyme Bが陰性で,症例1に比べ細胞変性があまりみられない症例2ではgranzyme Bが陽性だった。これらのことから無汗部では,最初にアポトーシス機序が細胞変性に関与し,その後に種々のリンパ球が誘導され,本格的な細胞変性が起きている可能性が示唆された。
  • 増岡 美穂, 平島 徳幸, 井関 充及, 三砂 範幸, 成澤 寛
    2007 年 69 巻 2 号 p. 150-153
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/05/17
    ジャーナル 認証あり
    36歳,男性。22歳頃,左側頭部の皮下結節を自覚し,以後,結節は徐々に増大した。初診時,左側頭部に径4cm の皮下腫瘤を認め,球状で弾性硬,圧痛は伴わず下床との可動性は良好であった。局所麻酔下に摘出し,頭蓋骨との癒着はなかった。病理組織検査では腫瘍細胞が,cell nestあるいは渦巻き状の構造を示して増殖していた。核は類円形で空胞状核を有し,細胞境界は不明瞭であった。免疫染色にてvimentin(+),S-100 protein(+),estrogen receptor(+),progesterone receptor(+)であり髄膜腫と診断した。頭部MRIにて頭蓋内,頭蓋骨内に腫瘤影は認めず,骨欠損や骨浸潤も認めなかったことから,皮膚原発の髄膜腫と診断した。皮膚原発の髄膜腫は稀であり,さらに側頭部に生じたのは本邦の報告で初めてであった。
  • 浅尾 香恵, 石原 剛, 影下 登志郎, 尹 浩信
    2007 年 69 巻 2 号 p. 154-157
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/05/17
    ジャーナル 認証あり
    症例は58歳の男性。5歳頃から右大腿外側に皮下腫瘤が出現し,5年ほど前から増大傾向を示し直径10cmになったため2005年4月当科紹介受診した。画像検査では軟部悪性腫瘍との鑑別が問題となった。全摘生検の組織所見では,線維性の被膜と,炎症細胞浸潤,器質化した血液成分を認めchronic expanding hematomaと診断した。過去の軟部組織発生例のchronic expanding hematomaとmalignant fibrous histiocytomaとの画像検査上の特徴を比較した。
  • —病理組織像と全身検索結果から推察された1例—
    竹内 善治, 佐藤 俊宏, 安松 知子, 波多野 豊, 片桐 一元, 藤原 作平
    2007 年 69 巻 2 号 p. 158-161
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/05/17
    ジャーナル 認証あり
    53歳の男性。約1年前,右鼠径部の皮下腫瘤に気づいた。表面の皮膚に変化無く,大きさも変わらないことより放置していた。近医にて切除され,malignant eccrine spiradenomaと診断され,当科紹介受診となり,入院となった。病理組織学的所見は,真皮内から皮下脂肪織にかけて限局性に腫瘍細胞の増殖を認め,索状・胞巣状に配列していた。腫瘍細胞はtwo-cell patternを示し,小型のbasaloid cellと大型の胞体の明るい細胞が混在していた。また良性のeccrine spiradenomaと考えられる成分は認められず,管腔構造が散見され,異常核分裂像も認められた。鑑別すべき疾患としてcylindrocarcinomaや原発性あるいは転移性のadenoid cystic carcinomaがあげられたが,発生部位や腫瘍胞巣周囲にヒアリン膜が見られないこと,免疫組織化学染色によりEMA,CEAが陰性であること,胸部X線,CTを含む全身検索の結果から否定され,malignant eccrine spiradenomaと診断した。治療は腫瘍拡大切除,右浅鼠径リンパ節郭清を同時に施行した。術後4年経過した現在,新たな再発,転移は認めていない。本邦報告例を集計し,考察を加えた。
  • 岡田 修子, 舛 貴志, 角田 孝彦, 河崎 昌子, 望月 隆, 奥山 隆平, 相場 節也
    2007 年 69 巻 2 号 p. 162-164
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/05/17
    ジャーナル 認証あり
    77歳,男性。前立腺癌および骨転移,多発性肝転移,肺癌のため加療中。右手背の自覚症状のない淡褐色調の腫瘤を主訴に受診した。腫瘤は,弾性硬,可動性不良の皮下腫瘤であった。腫瘤の内容物は黄白色の粥状物で,粥状物の培養から真菌が分離された。病理組織では,肉芽腫内にPAS陽性に染まる胞子連鎖や菌糸が多数みられた。分子生物学的検索により,菌株はExophiala jeanselmei type 6と同定された。Exophiala jeanselmeiによるphaeohyphomycosisは東北地方において自験例が2例目であった。自験例のような単発性の腫瘤は,日常診療でしばしば遭遇する表皮嚢腫などの疾患を連想させる。しかし,自験例のように低免疫状態の患者の腫瘤を診察した場合,真菌感染症の可能性を念頭におき,適切な診断と治療を行うことが必要である。
講座
治療
  • 伊豆 邦夫, 戸倉 新樹
    2007 年 69 巻 2 号 p. 172-176
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/05/17
    ジャーナル 認証あり
    長期外用薬使用中にその効果が減ずる乾癬をしばしば経験する。薬剤の治療効果が減弱する現象は,膠原病・リウマチ性疾患,悪性腫瘍などで認められ,薬剤耐性遺伝子産物発現によるエスケープ現象と称される。これに対し再び感受性を獲得させようとする試みが,1mg/kg/日程度のシクロスポリンA(CyA)を用いてなされ,“リセット療法”と呼称されている。この場合のCyA投与の目的は,第一義的にP糖蛋白に対する拮抗作用にある。今回我々は外用療法による治療効果が減弱した難治性乾癬2例に対し“CyAによるリセット療法”を試みた。追加検討事項として,1)乾癬患者における末梢血T細胞のP糖蛋白発現,2)リセット療法に用いたCyA内服量における正常人での血中濃度,を調べた。2例ともCyA 0.78~1.11mg/kg/日のリセット療法後に,従来の外用療法にて皮疹の改善を認めた。健常人3名におけるCyA 0.58~0.86mg/kg投与後4時間までの血中濃度(Auc 0-4)は非常に低値であったことを考慮すると,リセット療法に用いたCyAは免疫抑制作用よりもP-糖蛋白拮抗作用が中心的であると推察した。乾癬患者20名の末梢血リンパ球表面におけるP-糖蛋白の発現を調べたところ,一部の症例では異常高値を示した。リセット療法は,近年試されている低用量療法よりさらに低い量を用いたものであり,こうした量での薬効が注目される。
  • —アトピー性皮膚炎患者とストレス—
    永井 彩子, 斎藤 万寿吉, 伊藤 友章, 田嶋 磨美, 加藤 雪彦, 坪井 良治
    2007 年 69 巻 2 号 p. 177-181
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/05/17
    ジャーナル 認証あり
    アトピー性皮膚炎(AD)の要因の一つに心身医学的側面が関与しているとの報告がある。選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)である塩酸パロキセチン(パキシル®)をAD患者に投与し,皮膚症状・そう痒に対する治療効果を検討するとともに,AD患者の心理状態の変化を評価した。方法: 14例のAD患者に塩酸パロキセチンを8週間投与し,治療前後の臨床症状および心理状態の推移を非投与群(12例)と比較検討した。心理状態の評価にはアトピー性皮膚炎用心身尺度(PSS-AD),自己評価式抑うつ性尺度(SDS),状態・特性不安検査(STAI)を使用した。結果: 内服8週後,投与群,非投与群とも皮膚症状,そう痒,心理状態のスコアは改善を示したが,投与群でより改善した。SDS,STAIは正常人の平均値と比べてAD患者は高値を示した。考察: ADにおける心身医学的療法として,心理テストを行い,SSRIを投与することは有効な治療法の一つになる可能性が示唆された。
  • 前島 英樹, 齊藤 典充, 向野 哲, 勝岡 憲生, 阿部 美知子
    2007 年 69 巻 2 号 p. 182-185
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/05/17
    ジャーナル 認証あり
    脂漏性皮膚・脂漏性皮膚炎を併発する壮年性脱毛患者17例を対象として,ケトコナゾール外用の増毛効果とその作用について検討した。調査項目は,脱毛の改善度,脂漏性皮膚・脂漏性皮膚炎の改善度の変化とした。患者の自覚する易脱毛性は,ケトコナゾール外用後で有意に改善がみられ,脱毛の総合評価では,やや改善以上が74.6%であった。脂漏性皮膚・脂漏性皮膚炎で,外用後に有意に改善がみられた。以上の結果から壮年性脱毛に対して,同薬は有効であると判断した。
  • 上出 康二, 大谷 稔男, 廣井 彰久, 古川 福実
    2007 年 69 巻 2 号 p. 186-191
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/05/17
    ジャーナル 認証あり
    爪真菌症を対象とした経口抗真菌薬の臨床試験は多数行われているが,報告された治癒率には大きな幅がみられる。この一因として,重症度が異なる症例が臨床試験に組み込まれていることが考えられている。経口抗真菌薬の臨床試験では,試験対象例の重症度判定は混濁比を中心に行われていることが多く,治療期間を左右する爪の伸長速度や経口抗真菌薬の爪への到達度を左右する爪の肥厚などが加味されていることが少ない。今回,我々はSergeevより提唱されたSCIO(Scoring Clinical Index for Onychomycosis/爪真菌症の複合的臨床評価基準)による重症度分類を用い,イトラコナゾールの趾爪白癬に対する臨床効果を評価した。試験対象となった趾爪白癬患者は,投与開始前のSCIO平均スコアが20.5と比較的高く,SCIOに基づいたガイドラインで「経口抗真菌薬+外用療法(尿素製剤などによる病爪除去や抜爪)」が勧められる重症例が多かった。しかし,イトラコナゾール400mgパルス療法開始6ヵ月後には,SCIOスコアは7.5まで改善し,総合臨床効果判定においても,治癒率が52.6%,有効率が89.4%と高い有効性を示した。また,投与開始前のSCIOスコアが高い例に対してもイトラコナゾールパルス療法は高い有効率を示した。今回の試験結果から,SCIOを用いた評価においてもイトラコナゾールパルス療法は趾爪白癬に対して有用であることが示唆された。
  • 吉田 雄一, 中山 樹一郎
    2007 年 69 巻 2 号 p. 192-196
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/05/17
    ジャーナル 認証あり
    小児のそう痒性皮膚疾患に対する塩酸エピナスチンドライシロップ1%の臨床効果および保護者の薬剤印象に対する検討を行った。83名のそう痒を有する小児患者(15歳未満)に対し塩酸エピナスチンドライシロップ1%を1日1回(0.5mg/kg)投与し,1,2,4週後にそう痒,皮疹の程度の推移および全般改善度を評価した。また,治療終了時に保護者の薬剤印象に対するアンケート調査を実施した。投与開始1週間後よりそう痒,皮疹の程度とも有意なスコアの改善がみられ,93.5%の患者に効果(著明改善,改善)がみられた。安全性に関しては特に重篤な副作用は認められなかった。薬剤印象に対しては90.3%の患児が嫌がらずに内服ができ,95.2%の保護者が1日1回の投薬は便利であると回答した。以上の結果より,小児そう痒性皮膚疾患の治療に対し,本剤の投与は極めて有用であると考えられた。
  • 吉田 雄一, 高橋 聡, 古賀 文二, 荒尾 友美子, 徳丸 良太, 山口 隆広, 中山 樹一郎
    2007 年 69 巻 2 号 p. 197-200
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/05/17
    ジャーナル 認証あり
    皮膚科領域細菌感染症におけるプルリフロキサシンの有用性および安全性を検討した。49例の各種細菌性皮膚疾患を有する患者に対し,プルリフロキサシン1回200mg を1日2回経口投与(原則として7日間)し,その臨床効果を検討した。臨床効果が判定できた46例の有効率は91.3%(42/46)であった。疾患別の有効率は表在性皮膚感染症100%(14/14),深在性皮膚感染症88.9%(8/9),慢性膿皮症87%(20/23)であり,各種細菌性皮膚疾患において高い効果が認められた。細菌学的には,投与開始時での分離菌(13菌種39株)は治療終了時点ではすべて検出されなかった。副作用として1例に胃腸障害,1例に下痢・関節痛が出現したが,その後速やかに回復した。以上の結果より,皮膚科領域細菌性皮膚疾患の治療に対し,本剤の投与は有用であると考えられた。
  • 久保田 由美子, 中山 樹一郎
    2007 年 69 巻 2 号 p. 201-208
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/05/17
    ジャーナル 認証あり
    2004年2月,本邦でも爪真菌症に対するイトラコナゾール(ITCZ)400mgパルス療法が認可され,また報道機関を介した啓発運動により,抗真菌剤内服療法を求める,特に高齢者の重症爪白癬患者が増加してきた。そこで我々はITCZパルス療法の趾爪白癬に対する臨床効果と患者満足度について検討した。方法: 2004年6月から2006年4月に福岡大学病院皮膚科および協力病院を受診した趾爪白癬75例に対し,the scoring clinical index for onychomycosis(SCIO) scoreによる重症度分類を用い,ITCZパルス療法の有効性と安全性を検討し,治療3ヵ月目にアンケート調査を実施し,患者満足度も検討した。結果: 総症例は75例で3パルス完了は56例,6ヵ月判定例は35例で,安全性評価対象は73例,有効性評価対象は47例であった。平均年齢は58.0±15.7歳(19~82歳),SCIO scoreの平均は21.0±7.2(6~30)であった。爪の肥厚,混濁比とも経時的に減少し,3ヵ月時より治癒例が存在し,6ヵ月後までに40%(14例/35例)が治癒した。副作用は肝機能上昇や足の浮腫など19.2%(14例/73例)に認められた。アンケート調査では,約半数が治療費が高いという意見であったが,約70%が連日投与より良いと判断し,約90%が治療に満足していた。
世界の皮膚科学者
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