西部造船会々報
第108回西部造船会例会(西部造船会々報 第108号)
選択された号の論文の25件中1~25を表示しています
  • 勝田 順一, 河野 和芳, 松岡 幸加, 柴田 信彦
    p. 000006
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/10/22
    会議録・要旨集 フリー
    造船現場における技能において,板曲げ加工,特に加熱による板曲げ加工は,現場作業者の減少や年齢構成の面から,技能伝承が危惧されている。この加熱曲げ加工は,船舶の外観や推進性能に大きく影響するために非常に重要な作業であり,しかも,多くの経験に基づく熟練した技能が必要である。 加熱曲げに関する様々な研究は古くから行われてきたが,著者らも,造船所に対する曲げ加工の状況に関するアンケート調査を実施して,その結果に基づいて加熱曲げ加工の自動化・効率化システムに関する研究を行ってきた。本研究の主目的は,技能伝承に寄与することである。その成果は,本会にいくつか報告している。 第1報では,加熱曲げ加工の基本的変形である"角変形"の変形量算出の新しい考え方を提案し,二次的変形の発生する原因について考察した。また,試験室で加熱曲げ試験を行うためのシステムである,温度計測や形状計測のシステムについて報告した。さらに,西日本の規模の異なる造船所にアンケート調査した結果から,加熱曲げ加工の作業者確保や技能伝承の状況について報告した。 第2報では,加熱曲げ加工による変形現象を簡易的に推定する,パソコンを用いたシミュレータを提案した。このシミュレータは,非定常熱伝導解析や塑性変形解析を省略して,3次元弾性解析のみで鋼板の変形を推定するものであった。また,第3報で,この鋼板加熱曲げ変形の簡易推定システムにおける,擬似加熱条件の考え方と疑似加熱条件でのシミュレート結果を示した。 さらに,第2報で示したように,造船所現場作業者へのアンケートによる加熱曲げ加工手順の調査結果から,同じ加工目的形状でも,作業者によって加熱経路や加工順序が全く異なることを明らかにした。このことから,曲げ加工の実際は,作業者個々の経験と工夫によって現場の曲げ加工が行われていること,および目的の形状に到達する手順は数多く存在することが推察された。 本報では,ある加工目的の形状が与えられた場合,十分な経験を有していない作業者に,基本的な加工位置や加工回数を指示するためのシステムの考え方,およびこの指示システムで決定された加熱経路や加熱回数を,前報までに報告した変形の簡易推定システムで実行した結果を加工目的形状と比較して考察することを目的とする。また,決定された船型を表わす情報から,曲げ加工する曲面板を取り出すシステムについても述べた。 本研究の結果,本システムによって,目的の形状に加熱曲げ加工する手順を簡易的な処理によって短時間で指示できるシステムを提案することができ,第2報で提案したシミュレータを用いて,求めた加熱経路を疑似加熱した結果,ほぼ目的の形状に加工できることを確認した。
  • 矢島 浩, 山本 元道, 廣田 一博, 石田 欽也, 飯塚 智史
    p. 000012
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/10/22
    会議録・要旨集 フリー
    構造部材が座屈崩壊などの大きな塑性損傷を受けた後に,引き続き大きな繰り返し変形を受けると,数回から数百回の極低サイクルで亀裂が発・進展してしまい,大破壊事故の引き金になることがある。本報では,帯板試験片を用いた繰り返し大変形曲げ荷重下での亀裂発生試験ならびに有限要素法による弾塑性大変形解析を実施し,アルミニウム合金材の亀裂発生強度に関して定量的な調査・検討を行った。 亀裂発生試験は,初回繰り返し変位量とその後の繰り返し変位量の大きさを種々組み合わせて実施し,亀裂発生現象および亀裂発生・破断寿命などを詳細に観察・把握した。有限要素法解析では,数十%もの非常に大きな繰り返しひずみを受ける亀裂発生部の応力・ひずみ状態を詳細に把握するために,詳細な3次元ソリッドモデルおよび繰り返し大ひずみ範囲での材料定数を用いた。 亀裂発生試験および解析結果から,種々の大きさの初期塑性損傷(座屈損傷)およびその後の繰り返し変形を受けるアルミニウム合金材の亀裂発生・破断強度を統一的に取り扱うことのできる評価手法の基礎を確立した。
  • 田中 幸子, Yue Jingxia, Liu Gang, Im Eunsang, 新宅 英司, 藤本 由紀夫
    p. 000008
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/10/22
    会議録・要旨集 フリー
    船舶や海洋構造物の応力測定には歪ゲージが多く用いられるが,任意の線上の応力分布を測定する場合には,多数の歪ゲージを接着する必要があるので接着作業や配線作業が大変である。数枚の歪ゲージを直列に配置した応力集中ゲージもあるが,市販の応力集中ゲージは数点の歪測定用である。ところで,構造物に接着するテープ状の応力分布測定テープがあって,構造物の所定の線上あるいは曲線上に接着して,その線上の応力分布を測定できれば,局部応力分布を把握するのに便利である。また,対象部位を囲むように応力分布測定テープを接着して,対象部位の境界部に沿って連続的に応力分布を測定できれば,全体構造解析で検討困難な組立精度,溶接変形,残留応力の影響を含めた局部応力状態を検討することができる。そこで本研究では,高分子圧電フィルム(PVDF)を用いた応力分布測定テープを試作し,切欠材および亀裂試験片に適用してその有効性を検討した。 PVDFは極薄く柔軟な高分子圧電フィルムである。これを部材に接着するとその表面に部材歪に比例する電位Vを生じる。また,PVDFの異方性の向きを0度,45度,90度に変化させて3枚接着すると部材表面の歪成分を全て決定できる。試作した応力分布測定テープは,3枚のPVDF片(幅5mm,長さ2.5mmの長方形)を0.75mmの間隔で異方性の向きを0度,45度,90度に変化させて配置し,これを6回繰り返して直線上に配置したものである。すなわち18カ所の電位測定点を有する。これらを絶縁材料のテープに貼付けたものを構造部材に接着して使用する。絶縁テープにはポリイミドを使用した。ポリイミドテープには各PVDF片の中央部に相当する位置に穴加工を施し,この穴から表面電位を測定するようにした。PVDFの表面電位測定には表面電位計を使用した。通常の電位測定法ではプローブの測定スポットよりも微小なPVDF片の電位を精度良く測定できない。このため本研究では,プローブ先端に画鋲形状電極を取付けて電位測定を行う方法を採用した。画鋲形状電極はプローブと微小間隔を介して対向する位置に配置した画鋲形状電極の先端部に微小な導電ゴムを取り付け,導電ゴムの底面をPVDFに接触させて,PVDFの電位を静電誘導によって頭部の円盤に伝えて電位を測定する。接触方式で測定するのでプローブとPVDFの間隔を保つ固定具が不要になるとともに微小領域の表面電位が測定可能になる。次に,応力分布測定テープを用いた応力分布測定実験を行った。軟鋼の切欠付き平板と亀裂付き平板に、切欠き部又は亀裂部を囲むように3本又は2本の応力分布測定テープを接着し,これを油圧サーボ試験機に取り付けて,1Hz,正弦波,完全両振り荷重を繰り返し負荷した。試験中に画鋲形状電極を取り付けたプローブでPVDFの表面電位変動を計測し,測定した電位変動から各テープ線上の応力分布を求め,その結果をFE解析で求めた応力分布と比較した。その結果,実験で求めた応力分布は有限要素法解析で求めた応力分布と良く一致した。
  • 篠田 岳思, 福地 信義, 名越 敬
    p. 000030
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/10/22
    会議録・要旨集 フリー
    近年、環境問題は益々深刻化してきており、人間の生活や生産活動、さらには人間社会の拡大により、自然環境は大きな環境負荷圧力を受けている。開発か、それとも保護かという意思決定の際には、人間の生活と環境保全とのバランスをとることが必要である。さらに、環境価値は自然が喪失した時点で大きく変化することもあるため、開発に際してこの点を十分に考慮する必要がある。本研究では、失いかけた環境を住民たちの手で修復してミチゲーションなされた場合における環境価値の変化を調査するために、柳川市を対象に仮想評価法(CVM)を用いて調査した。また、クロス集計表や数量化_(特)_類を用いて環境価値の因子分析を行い、ミチゲーションの有効性について検証を行った。
  • 山口 悟, 寺田 昌史
    p. 000021
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/10/22
    会議録・要旨集 フリー
    海中ロボットの開発研究は海中資源開発、海洋環境調査のために今後ますます盛んになってくると考えられる。本報告では、魚類の泳動方法に基づく海中ロボット開発のための基礎的な調査として、魚類の加速泳動について報告する。泳動データの取得にはデジタルビデオを用い、得られた画像を解析することにより魚類に特徴的な急激な加速泳動について調査した。
  • 続報
    慎 勝進, 山口 悟, 中山 祐蔵, 西依 亮, 新開 明二
    p. 000019
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/10/22
    会議録・要旨集 フリー
    小型高速艇の1/16模型船による曳航実験を行い、各種計測と共に船首部近傍の波の様子の観察を行った。続報として、船体に付加物を取り付けて行った実験結果を報告する。
  • 片岡 史朗, 岩下 英嗣, 末吉 明, 東濱 清, 高木 幹雄
    p. 000022
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/10/22
    会議録・要旨集 フリー
    非定常造波問題の数値解法のひとつとして、船体周りの流場を仮想境界面により近場(内部領域)と遠場(外部領域)に分割し、近場にランキンパネル法を、遠場に Green関数法 を適用して仮想境界面上で両者を結合させるという解法、いわゆる、ハイブリッド法が提案されている。この方法では船体表面上において波核関数を計算しないために波核関数の数値計算に起因する諸問題が発生せず、また、 外部領域に Green関数法を適用するために放射条件を厳密に満足させることができるという利点を有する。本研究では、空間に固定した仮想境界面を用いるハイブリッド法を提案し、単一特異点が造る波動場の計算を行い、本手法により得られた数値計算結果と波核関数を用いて得られる理論解とを比較することによってその有効性を検証している。また、自由表面及び仮想境界面上の格子形状・分割数を変更した計算を行い、格子形状・分割数と放射条件の関係についても詳細な検討を行っている。
  • 中村 昌彦, 梶原  宏之
    p. 000018
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/10/22
    会議録・要旨集 フリー
    係留された海洋構造物の模型実験を行う場合、特にブイのように小型の構造物の場合は、係留ラインに比較して構造物の大きさが小さいために、模型の排水量が小さくなり、波浪中における運動を精度良く計測することが困難であった。 近年、海洋構造物はますます深い海域で係留されるようになり、水深に制限のある水槽で模型実験を行うためには、ますます小さな模型を使うことが余儀なくされて来ている。 従来、浮体模型の運動計測にはポテンショメータを用いた機械式の運動計測装置が使用されることが多かった。 この装置は機械部の摩擦、可動部分の質量が大きいので、小型模型、半潜水式海洋構造物のように流体力が小さい場合には計測精度に問題があり、極小模型に対しては使用不可能であった。 計測に発光ダイオードを用いた光学式無接触変位計を使用したとしても、発光ダイオードとカメラの同期を取るためにケーブルを模型に渡す必要があり、小さな模型の運動、ドリフト量を計測する場合は、ケーブルの取り扱いに注意が必要であった。 そこで画像処理を利用した、完全無接触型の運動計測装置が使用されるようになってきた。 これらの装置は画像処理を専用のボードで行うものであり、一般的に非常に高価である上、波高、係留ライン張力などの他の計測量を同期を取って収録するには特別な工夫を要した。 画像処理も2値化画像からしきい値処理によりターゲットを抽出したり、カラーのターゲットを色抽出して、面積中心より位置を計測するものがほとんどであった。 また、回転運動を計測する場合は2個のターゲットを必要とし、計測後の後処理が必要であった。 近年は、パソコンの高性能化に伴い、画像処理をパソコンのソフトウエアー上で(リアルタイムで)行うことが可能になってきており、CCDカメラ、画像入力ボード、画像処理用ソフトウエアーを準備するだけで専用機に比べてはるかに低価格で画像処理システムを実現できるようになった。 そこで本研究では、パソコン上で動作する画像処理用ソフトウエアーを用いて海洋構造物模型の波浪中運動計測を試みた。 専用機と異なり、画像処理のプロセスを自由に組めるので、いろいろな方法でのターゲットの抽出、ターゲットの運動計測が可能となる。 本論文では、しきい値処理による位置計測、形状パターンマッチングによる運動計測、濃淡パターンマッチングによる運動計測、自動抽出された形状をターゲットとして利用する運動計測等が行われた。 位置計測精度の確認、波浪中運動計測精度の確認等を行った結果、良好な結果が得られたので報告する。
  • 蒋 志超, 土井 康明, 岩下 英嗣
    p. 000027
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/10/22
    会議録・要旨集 フリー
    Darrieus wind turbine is a kind of vertical axis wind turbine (VAWT) with attractive characteristics such as the ability to accept wind from random direction and easy installation and maintenance. But the flow around the wind turbine is very complicated especially for its dynamic stall which affects the efficiency of the turbine. In order to investigate the aerodynamic phenomena of straight Darrieus wind turbine, the flow around the turbine is simulated by solving the two-dimensional unsteady Navier-Stokes equation combined with continuous equation. The time marching method on a body-fitted coordinate system based on MAC method is used. O-type grid is generated to the total calculation domain. Different Reynolds number cases based on oncoming inflow and chord length of blade of turbine are calculated. In order to compare the numerical results to similar experiments done by Sandia National Laboratory of USA, NACA0015 section is selected as the wind blade section. The characteristics of tangential and normal force are discussed related with dynamic stall of the blade. Averaged Power coefficient per period of rotating is calculated to evaluate the eligibility of the turbine.
  • 一色 浩
    p. 000009
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/10/22
    会議録・要旨集 フリー
    低速前進時の振動翼推進器を渦理論で解析するためには,合理的な後流渦モデルの作成が重要である。渦理論はあくまでも近似理論であるから,細部に捉われない大きなポイントを抑えたものでなければならない。徒に渦モデルの自由度を大きくすることは,収束のための計算時間が増えるばかりでなく,収束しなくなる可能性が増す。後流渦の軌跡と流出速度がポイントであろう。単独翼の場合について,渦が与えられた場合と翼運動が与えられた場合について,詳しく論ずる。数値計算結果は合理的なものと考えられる。翼を複数にすると,トンボのホバリングに応用可能である。
  • 大橋 訓英, 安東 潤, 中武 一明
    p. 000001
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/10/22
    会議録・要旨集 フリー
    本論文では、キャビテーションが発生した定常プロペラ性能計算コードを簡便なパネル法(SQCM)を用いて開発し、キャビテーションが発生したプロペラによる変動圧力を計算により推定する。
  • 中武  一明, 吉武 朗, 安東 潤, 佐藤 義邦, 右近 良孝, 玉島 正裕
    p. 000002
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/10/22
    会議録・要旨集 フリー
    最近になって、ポッド・プロペラという、ポッドの中に電動モーターを持つ推進機が船舶に使用されるようになってきた。しかし、模型船での実験から実船の推進性能を推定する方法が確立されておらず、まちまちの方法で推定されている。本論文では、実船で150mのバルクキャリアの船型に2軸のポッド・プロペラを装備した船を考え、それに対応する長さ2.5mの模型船と直径80mmのプロペラおよび動力計を作成した。ポッド系(ポッドとストラット)および船体の抵抗試験、プロペラの単独試験、ダミーポッド付プロペラ性能試験、荷重度変更法による自航試験などにより、模型船の推進性能を解析して、ポッド・プロペラ装備船の推進性能算定法の問題点を明らかにした。一方、境界要素法を用いる理論計算によって、実験に対応する推進性能計算および仮想実船に対する推進性能計算を行い、推進のメカニズムを明らかにした。また模型船の結果からITTC1978年の予測算定法を用いて、実船の推進性能を求めて比較し、その精度について検討した。
  • ハサンバシリ ムルシッド, 小瀬 邦治
    p. 000007
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/10/22
    会議録・要旨集 フリー
    海上物流におけるハブアンドスポークシステムのための値引き率を用いたネットワーク解析法を既に開発している。値引きを考慮しない場合、特にバブ港の位置決定に関する問題において、スポークス港(ハブ港)がうまく配置されない場合があるという問題があり、得られた結果は必ずしも満足の行くものではなかった。本論文では、このスポークス港がうまく配置されないという問題点を改善する方法を示す。本法では、航海中もしくは港湾でのコンテナの損失に関する時間価値が考慮されている。また、港湾での荷役時間の推定精度向上のため、バース容量に関する制約条件を付加している。それらを、先の研究で用いたものと同じ問題に適用した。その結果、時間価値とバース容量を考慮することで、スポークス港がうまく配置できることが確認された。
  • 古川 芳孝, 貴島 勝郎, 茨木 洋, 阿部 憲和, 宮原 誠宜
    p. 000023
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/10/22
    会議録・要旨集 フリー
     近年の海運業界の国際競争激化に伴い,国内の船員雇用数は年々減少傾向にあり,また,船舶の乗員数の少人数化が進むにつれて,乗組員の操船時の作業負担が大きくなってきている。さらに,全乗員数に対する経験の浅い乗員の割合も相対的に増加しているため,船舶航行の安全性の確保や乗員の作業負担の軽減を目的とした操船支援システムに関する研究ならびに自動運航システムに関する研究が多く行われている。一方,Kinematic GPS を利用した測位精度の向上や,IMO における AIS (Automatic Identification System) の搭載義務化の決定により,船舶の完全自動航行システムの実用化が現実味を帯びてきている。 著者らは船舶の完全自動航行システム開発の第一段階として,二隻の船舶間の衝突回避問題を対象にファジィ推論を用いて海上衝突予防法に基づく判断・行動を行う衝突回避アルゴリズムを構築し,シミュレーション計算によりその有効性についてこれまで検討を行っている。また,前報においては,船舶の固有閉塞領域を衝突危険度の判断パラメータとして衝突回避を自動的に行うアルゴリズムを構築し,シミュレーション計算によりその有効性について検討を行った。さらに,著者らは自動航行システムの検証を目的として,CCD ビデオカメラと光ファイバージャイロにより模型船の位置や回頭角等の情報を取得し,模型船を自動航行させるための実験システムの開発を行った。 そこで,本研究においては,停止船を想定した障害物を回避する問題に対して前報で構築した避航アルゴリズムを拡張して適用し,停止船の周囲に設定する閉塞領域の大きさや避航のための針路を決定する際に用いるパラメータの変化が船舶の避航運動に及ぼす影響について,まずシミュレーション計算により検討を行った。続いて,シミュレーション計算により検討を行った避航アルゴリズムを模型船の運動に適用し,模型実験によりその有効性について検証を行った。
  • 浮体型救援基地
    篠田 岳思, 関 和隆, 福地 信義
    p. 000028
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/10/22
    会議録・要旨集 フリー
    平成7年阪神・淡路大震災による人的被害は死者6,432名(関連死910名を含む),行方不明者3名,負傷者43,792名という極めて深刻な被害をもたらした。さらに25万棟の住家屋が全半壊し,幹線道路網や港湾機能等の交通網の被害,上下水道,都市ガス,電話等の通信機能等のライフラインの寸断により,長期に渡り大きな被害をもたらし,復興に至るまで莫大な損失をもたらした。 この大震災では,陸上交通路網は,例えば高速道路倒壊のように重大な被害を受け,物資や人員の救援に対する陸上輸送が麻痺し深刻な状況となった。この震災の報告によると罹災者への水,食料の輸送等ライフラインの確保,物資輸送,救命,人工透析患者等の日常にハンデのある方々の移送,救援者の輸送,さらには罹災者および救援者への避難所や宿泊所の提供等,物資・人員輸送において船舶による海上支援の有効性が高いことが報告された。ところが,都市近郊の多くの岸壁や埠頭は崩壊し支援船の接岸が不能となり,さらには荷役機器の倒壊による機器の使用不能となったことや船舶の航路の確保等も報告され,海上支援上の障害となる問題点も指摘された。 これらの教訓を背景として,本研究では我が国沿岸部に多数点在する大都市での大震災の際に,海上からの支援を基本構想とした震災時の救援物流および復旧支援活動のための海上から支援支援する浮体型救援基地についてマルチエージェントシミュレーションにより機能性評価を行う。
  • 松尾 宏平, 慎 勝進, 新開 明二
    p. 000017
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/10/22
    会議録・要旨集 フリー
    本報では,北太平洋全域についての波浪統計資料を衛星情報を基に構築した結果を示す.人工衛星ERS-2のレーダ高度計より観測された有義波高データから波高_-_波周期の同時発生確率を求め,それらを統計資料として纏めるまでの過程を示す.さらに,構築された統計資料の有する特性を考察する.
  • 山口 悟
    p. 000013
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/10/22
    会議録・要旨集 フリー
    日本沿海の洋上風力発電フリートの開発を試みる際に重要なステップである風況調査について、解析結果と風速計測結果の比較検討を実施し一つの提案を行う。
  • 豊田 和隆, 中島 一誠, 大坪 和久, 梶原 宏之
    p. 000005
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/10/22
    会議録・要旨集 フリー
    環境問題が深刻となる近年、再生可能なエネルギーとして風力発電が注目されている。しかし、風力発電は他の発電技術に比較して、生産空間に対しての潜在エネルギー密度が小さい。さらに、無風、および微風時には発電効率が発電できないという問題をかかえている。これにたいして、最近では、発電機をモーターとして一時的に回転を与えるパワーアシストにより、微風時においても、積極的に発電することが可能になりつつある。一方、将来の風力発電事業の拡大に伴い、さらなる安定した電力供給が求められる時代が来ることを考えると、単機での発電効率改善に加えて、複数台、つまり、風力タービン群としての取り扱いをする必要がある。この場合、前述したパワーアシストに伴う電力消費量は、発電量と比較しても大きな割合を占めるため、将来的には、この消費量をできるだけ軽減するような対策を講じることが要求される。そこで、本報では、パワーアシストに必要な電力を他の風力タービンから供給できるような風車ネットワークを想定し、ネットワーク全体の発電電力が、最大になるような最適パワーアシスト制御法を、協調性を考慮した強化学習を用いて風力タービン群自身が自律的に導出する。そして最後に、この制御法により、風力タービン群全体の準最適な発電が実現されることを数値シミュレーションにより示す。
  • 一組のモジュールの場合
    プラソジョ ブディ, 斎藤 公男, 信川 寿
    p. 000011
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/10/22
    会議録・要旨集 フリー
    ゴムフェンダーで連結結合したモジュール型浮体構造物の波浪中弾性応答について論じている。本報告では、簡単な場合として、2つの浮体構造物がゴムフェンダーで連結結合された、1モジュールについてその連結部での波浪荷重を、有限要素法を用いた実用的計算法により求め、模型実験によりその有用性を確認している。
  • 安澤 幸隆, 平野 晃貴
    p. 000029
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/10/22
    会議録・要旨集 フリー
    超大型浮体構造物(VLFS)は、平面的に広く、船舶などに比べて相対的に曲げ剛性が小さいので、流力弾性応答を考慮して設計をする必要があることがすでに知られている。そのVLFSの初期段階における構造設計を行うためには、曲げモーメント、剪断力、および動的水圧の評価が必要である。しかし、構造形式や寸法を概略決定するためには、構造安全性評価式、機能性制約条件、および工作上制約条件などの制約条件を満たす最適化が必要である。しかし、流力弾性解析を直接的にその最適化のループに組み込むことは難しいので、変位や応力などの構造応答の簡易推定式が必要であると考えられる。本研究では、構造部材のせん断応力を求めるのに必要な波浪せん断力に注目し、VLFSに働く波浪剪断力を構造部にFEM, 流体部にBEMを用いた流力弾性応答解析で求め、そのせん断力分布の特性を調べた。さらに二次元解析から解析的に求められる波浪剪断力の式を修正する形で、波浪せん断力の最大値の簡易式を導くことを試みたので報告する。
  • 安澤 幸隆, 松下 正幸, 杉本 晋一
    p. 000026
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/10/22
    会議録・要旨集 フリー
    近年のコンピュータの急速な性能向上とネットワーク技術の発達により、複数のPCをネットワーク上で接続してメモリーおよびCPUの共有化をした並列コンピューティングを行うための環境が整ってきた。また、ソフトウェア面もMPIのような通信ライブラリーが整備されてきた。船舶や自動車などの衝突問題のような動的な非線形大変形問題では、通常動的陽解法のFEMが用いられているが、膨大な時間ステップを必要とする。そこで本研究では、ベオウルフ型並列PCシステムを構築し、動的陽解法FEMによる構造要素の並列化計算の手法を開発し、その効果について調べた。この動的陽解法における領域分割法の並列化アルゴリズムおよび入出力データについて説明し並列化計算有効性を示した。また、中空角柱構造要素の軸圧縮荷重による動的圧壊挙動について弾性、弾塑性挙動を調べ挙動を明らかにした。
  • 北村 充, 濱田 邦裕, 山本 元道, 永楽 洋太, 柴田 真沙美
    p. 000020
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/10/22
    会議録・要旨集 フリー
    構造物の強度評価に有限要素法を用いるが,モデル作成・解析時間や計算機資源を考慮すると,要素数や節点数を抑えたモデル化・解析が望ましい.一方,船舶等の大型構造物に対して要素数・節点数を抑えた有限要素解析を施すと,十分な精度を得られず,強度評価に大きな影響を与える. 有限要素法は連続体に対して離散化を施すことにより有限な自由度に変換して解析を行う手法であり,その変換の際に連続体の特性を失ってしまう.得られた有限要素解に不連続性部と連続部の情報を付加することにより,応力解の精度向上が考えられる.本論文は,ポスト処理により有限要素法の特徴を考慮した応力修正を研究し,船体構造解析への応用について検討する.
  • 野瀬 幹夫, 松岡 和彦, 森 正浩
    p. 000004
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/10/22
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は,船体が波浪中において,縦曲げ,水平曲げ,捩れの三種類の荷重を受ける場合の横断面の反りを考慮した縦の全体強度解析および実用化システムの一環であり,船体を曲げおよび剪断変形を考慮した梁要素の集合体として取り扱って,梁理論に基づいて解析することで,有限要素法に比較して速やかに能率良く妥当な解を求めることが可能であり、船殻初期設計での構造の比較検討に用いることを目的としている。今回は撒積貨物船を例に取り,水平曲げにおける横断面の反りを考慮した薄肉変断面梁の応力解析法の構築を目的とした。本研究では,剪断中心まわりに考えると水平曲げと捩れは連成しないことにより,水平曲げに関しては,水平曲げの反りによる剪断流を含んだ「水平曲げによる横断面の反りを考慮した薄肉変断面梁の応力解析法」を提案する。この際,水平曲げによる反りおよび反りの長さを方向の分布を決定する関数は,水平荷重下における薄肉変断面梁の系のポテンシャルエネルギーを求め,これに変分操作を行い,Eulerの微分方程式を整理することによって,これらの関数を決定した。そして本解析法を撒積貨物船に適用し,本解析法の有効性を検討した。
  • 撒積貨物船の場合
    野瀬 幹夫, 松岡 和彦, 河原 幸典, 豊福 正史
    p. 000010
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/10/22
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は,船体が波浪中において縦曲げ,水平曲げ,捩れ荷重を受ける場合の横断面の反りを考慮した縦の全体強度解析とその実用化システムを構築するための一環である。本論では「水平曲げ・捩れ荷重を受ける薄肉変断面梁の捩り強度解析の実用化システム(以下TR-Warpsと呼ぶ)」の開発を目的とするものである。今回は次の3種類の横断面形:・多重連結セルと独立セルを有する横断面(B/C型)・多重連結セルとその直上に一つのセルを有する横断面(クローズドデッキ型)・両舷に及ぶ複数のセルを有する横断面(多層甲板型)に対して適用可能となるようにTR-Warpsを開発した。その際,まず積分経路に対しては、著者の二人が以前に提案した経路を用いた。次に、捩りモーメントによる剪断流係数を求める時に用いられる連立一次方程式の係数マトリックスに対して、各要素の分布に大骨部材の種類毎の規則性を発見した。この概念を適用して実用化システムの開発を行った。最後に、このTR-Warpsを用いてPANAMAX型撒積貨物船の実船モデルを解析し,森らが提案した両端先細修正法を用いたB/C型の等断面梁の解析結果と比較・検討したものである。
  • 松岡 和彦, 野瀬 幹夫
    p. 000003
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/10/22
    会議録・要旨集 フリー
    近年,コンピュータシステムのハードウェア性能とソフトウェア技術は非常に大きな発展を遂げており,高性能化と低価格化が進んでいる。製造業の分野で用いられるCADに関しても高性能化と低価格化に伴って2次元CADから3次元CADへと移行が進んでいるのが現状である。現在,造船分野における3次元CADの利用は,船殻と配管艤装の生産設計段階で確定された情報を入力し一品NC情報を出力する利用法が主流である。変更修正を繰り返さなければならない設計検討段階では依然として2次元CADによる設計が行われている。これは船舶を構成する船殻構造の部材数や艤装品数が膨大で,モデルの構築に多大な手間がかかるためと思われる。また現在の確定情報を入力することを前提に設計された造船用3次元CADでは,入力項目が多く操作手順が煩雑であるため,設計初期の段階で設計者が思考しながら利用するには適していない。しかし,近年の造船業を取り巻く環境は厳しさを増しており,経済状況の変化や中国並びに韓国の造船業への台頭により,設計のスピードアップと建造のコストダウン,特殊船の設計や船主要望へのよりきめ細かい対応などが求められている。これらの要求に対応するには,従来からの確定情報の3次元化とは別に,設計初期の段階で簡便に3次元モデルを構築し,設計者間はもとより建造,調達,保証といった関連する部署の間で横断的な設計検討を十分行う必要がある。つまり造船分野においてもコミュニケーションやエンジニアリングの基礎となる船殻初期3次元モデルを素早く構築し、必要な情報を共有する必要が発生している。そこで本研究では,設計初期の段階で設計検討を行うための船殻初期3次元モデルを簡便に構築する手法として,トポロジー理論に基づいたモデル構築方法を提案する。本研究ではこの構築法を用いて実用化システムの開発を行い、モデル入力を自動化した。これによりモデル構築の手間を大幅に削減し,設計初期の段階で船殻初期3次元モデルを構築することが可能となった。
feedback
Top