分析化学
Print ISSN : 0525-1931
技術論文
高選択性樹脂を用いる固相抽出法による6価クロムの分別定量
古庄 義明小野 正登山田 政行北出 崇本水 昌二
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2009 年 58 巻 3 号 p. 147-152

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抄録

6価クロム{Cr(VI)}は,高周波誘導結合プラズマ発光分析法(ICP-AES)において直接分別定量することが困難であり,JIS K 0102,JIS H 8625,EPA3060Aなどの各種試験法においてジフェニルカルバジドによる発色後の吸光光度法が指定されている.ICP-AESを採用するには事前に6価クロムのみ分離してから導入する必要があり,従来陰イオン交換固相抽出が検討されてきたが,酸性条件や塩濃度が高い条件下での分離操作が煩雑であった.一方,ジフェニルカルバジド法における検出では,実試料が有機物や油分の影響により着色・白濁していることが想定され,正確な測定が困難になる場合がある.本研究では陰イオン交換樹脂と比較して6価クロムへの選択性が高い分子認識能のある高選択性樹脂を固相抽出カートリッジとして作製し,複数元素群からの選択分離の検証,最適抽出条件を検討した.本研究で確立した手法を実試料に適用したところ,白濁着色した工業廃液において89.2~96.2%,着色した土壌抽出液において88.5% の良好な回収率が得られた.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry 2009
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