分析化学
Print ISSN : 0525-1931
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エキサイプレックス蛍光現象を利用する多環芳香族炭化水素のHPLC分析
轟木 堅一郎柳郷 恵子吉田 秀幸能田 均山口 政俊
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2016 年 65 巻 12 号 p. 729-735

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抄録

多環芳香族炭化水素(Polycyclic aromatic hydrocarbons: PAHs)とアニリン誘導体の間に発現するエキサイプレックス蛍光現象を利用したPAHsの選択的分析法を確立した.エキサイプレックス蛍光発現条件の最適化を行った結果,8種類のピレン誘導体すべて,及びアントラセン,アクリジン及びペリレンにおいてエキサイプレックス蛍光が観測された.エキサイプレックス蛍光を発現させるためのアクセプター分子には多くのアニリン誘導体が適用でき,特にN,N-ジメチルアニリン(DMA)とN,N-ジ-n-プロピルアニリンが強いエキサイプレックス蛍光を生成した.また,エキサイプレックス蛍光はトルエン,ジオキサン,ベンゼンなどの低極性溶媒中で強く発現することから,順相高速液体クロマトグラフィー(HPLC)と組み合わせたピレン類の一斉分析法を構築した.本法を用いて喫煙者及び非喫煙者尿中1-ヒドロキシピレン(1-HP)の定量を行ったところ,1-HPを多数の夾雑ピークの中から定量することが可能であった.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry 2016
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