日本物理学会誌
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光π±中間子生成による原子核の研究
庄田 勝房
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1990 年 45 巻 1 号 p. 17-24

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抄録

π中間子が予言され, 発見されて以来, 核子(陽子と中性子)とπ中間子の相互作用は初期の素粒子論の分野で盛んに研究された. 核子にガンマ線を照射してπ中間子を発生させる核子からの光π中間子生成も, その課題の一つであった. 現在では, π中間子はその核子との相互作用が核子同士の相互作用と異なる事を利用して, 原子核の研究に積極的に用いられつつある. 原子核からの光π中間子生成における相互作用の特殊性も原子核研究に大変有効に利用する事が出来る. こうした意図のもとに, 原子核の状態を特定しての光π±+或はπ-)中間子生成による原子核研究がこの10年間に大きく進歩した. ここでは, この反応によって原子核準位間のスピン・アイソスピン反転転移の研究が行なわれる事を述べ, 12Cでの低励起状態の標準的な研究, 13C, 14Nでの特殊な原子核構造の研究例, 6Liでの高励起状態の研究例等を通して研究の現状を報告する.

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