2015 年 26 巻 2 号 p. 51-56
要旨 急性脳卒中例におけるバイオマーカーとして,終末糖化産物(advanced glycation end products; AGE)とその可溶性受容体(soluble RAGE; sRAGE)に着目した.発症後3 日以内の急性期脳卒中例の検討より,sRAGE 低値と重症白質病変,入院時重症度,喫煙習慣,正常糸球体濾過率は有意に関連した.急性期脳卒中例におけるsRAGE とesRAGE には良好な相関があった(R=0.85).急性脳梗塞例と年齢をマッチさせた吹田コホートとの比較より,AGE の一つである血中ペントシジン(PENT)値は,他の危険因子で補正後も有意に急性脳梗塞と関連した.脳卒中発症後平均3 日と14 日にsRAGE,esRAGE,PENT を測定し,健常例と比較した.sRAGE,esRAGE は,脳出血発症早期に低下しており,脳出血発症に関連している可能性がある一方,PENT は,脳卒中発症リスクのバイオマーカーとなる可能性がある.